大正中期

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 七年十一月の休戦で、一時不況となったが、半年たらずでおさまり、八年の四~五月ころからは、戦後景気がはじまり、企業の増大、生産の増加は、最高潮に達した。がしかし、早くも翌九年三月ころには、戦後恐慌を迎えることになった。
 以上のような中にあって、千葉県の工業の状態を、従業員一〇人以上の工場からみると、大正八年には、二五五工場と、四年の一八一工場より、七四工場も増加した。
5―53表 大正8年における従業員10人以上の工場数(全県)
工場数内容
紡織・染色50
機械器具14金属品加工6,機械製造3 船舶2,器具製造2
化学22窯業7,製紙5,製油5 製薬3
食品119醤油44,酒類39,澱粉12 水産品9,畜産品5
印刷1
その他46
電燈3
総計255

(『千葉県統計書』より作成)


 四年間の大きな変化は、機械器具製造が、統計上、独立した部門として扱われるようになったことで、機械器具工業の発展が、うかがえる。
 内容的には、金属加工六、機械製造三、器具製造二、その他三、計一四工場であった。化学部門の増大も著しく、四年当時の二倍余の二二工場となり、内容的には、窯業七、製油五、製紙五が主であった。内容的には、貧弱ではあったが、千葉県でも、第一次大戦を契機として、重化学工業の芽生えがみられたのである。この八年に最も増加数の多かったのは、千葉県工業を特色づける、食品部門で、七九から一一九工場に増加した。増加の主役は、澱粉工場の一二と、畜産品の五工場であった。ただこの八年には、紡織部門で、編物工場を中心に、一〇工場も減少した。翌九年には、戦後恐慌となり、工場数や、生産額が停滞や、減少をした。九年の工場数二三九は、前年より、一六工場の減少であった。
 当市域においては、一〇人以上工場は、四年一六、八年一八、九年二二工場と増加を示した。増加の内容をみると、五、六年ころは、メリヤス工場や、木製品工場が設立され、八年には、真田工場の減少があったが、反面、製紙・器具・製油の各工場の増加があった。