大正十五年、農会は一トン車を購入して神田市場まで定期運転したことが、『愛土』同年四月号にみえる。二時間で到着、汽車積みに比べ、荷傷みが少ないので問屋の受けが良いうえ、品と場所にもよるが、一台について一〇円の運賃は、従来より二~三割安くついた。毎月一・四・八の日六回、東京へ往復した。
傾向として全県的に大きな占有率をもつ、いも類、大根、ごぼうなどの根菜類に特色があったことが別表によりわかる。前掲明治末期に比して、にんじん三分の一、まくわうり五分の一に作付面積が減少した。大正一〇年、県農会事務所の落成記念として、名物共進会が催された。出品野菜類一、八五一点を数える中から特賞四点、一等六一点、二等一二三点が選定された。千葉郡関係では、特賞に検見川の甘しょ、一等には都賀、幕張の甘しょ、都賀のなす、白井の西瓜、都賀のごぼうがある。二等受賞作物としては、生浜の玉ねぎ、千城のまくわ瓜、馬鈴しょ、なす、トマト各一点が挙げられた。西瓜はもと幕張辺りから千城にかけて栽培されたが、昭和に入るころは誉田、土気方面に移行していった。
作付面積 (町歩) | 大正元年の作付面積 | 金額 (千円) | 総額中の比率(%) | 県内の作付面積中に占める割合(%) | ||
米 | 5,265 | 4,858 | 50 | 水田 | 3.7 | |
麦 | 6,466 | 1,803 | 18 | 大麦 | 9.3 | |
小麦 | 14.6 | |||||
雑穀 | 443 | 534 | 81 | 0.8 | ひえ | 9.5 |
もろこし | 9.7 | |||||
甘しょ | 3,956 | 3,300 | 1,644 | 17 | 22.3 | |
馬鈴しょ | 239 | 143 | 89 | 0.9 | 17.6 | |
里芋 | 418 | 430 | 207 | 2.1 | 18.3 | |
西瓜 | 75 | 27 | 132 | 1.3 | 14.8 | |
なす | 69 | 53 | 53 | 0.5 | 6.3 | |
大根 | 186 | 154 | 105 | 1.1 | 6.7 | |
ごぼう | 67 | 41 | 48 | 0.5 | 9.7 | |
大豆 | 874 | 791 | 165 | 1.7 | 4.3 | |
落花生 | 186 | 177 | 31 | 0.3 | 3.8 | |
そら豆 | 133 | 269 | 33 | 0.3 | 15.2 | |
未熟もの81 | 21 | |||||
なたね | 551 | 283 | 93 | 1.0 | 13.8 | |
果実 | 62 | 47 | 0.5 | |||
(苗もの) | 195 | 2.0 |
備考 大正2年の甘しょ売上げ94万円,うち京浜24万円,東北20万円,北海道15万円,郡内でん粉業者に26万円供給した。
(『千葉郡誌』)
組合名 | 設立年度 | 組合員数 | 販売品目 | 最近1カ年の販売量 | 主なる取引先 |
千城村坊谷蔬菜組合 | 明治44年 | 37 | 蔬菜類 | 4,000貫 | 千葉鉄道一連隊 |
都賀村作草部〃 | 大正3年 | 32 | 〃 | 8,000貫 | 歩兵学校,鉄連 |
犢橋村小深〃 | 〃 | 25 | 沢庵漬 | 7,000貫 | 四街道砲兵連隊 |
佐倉歩兵連隊 | |||||
誉田村遍田西瓜研究会 | 大正7年 | 20 | 西瓜 | 2,500貫 | 千葉 |
穴川甘しょ共販組合 | 〃 | 30 | 甘しょ | 12,500貫 | 東京,東北地方 |
犢橋村花島蔬菜組合 | 〃 | 60 | 甘しょ,里芋 | 5,000貫 | 〃 |
更科村中田蔬菜栽培組合 | 大正8年 | 56 | 蔬菜 | 2,000貫 | 千葉 |
(『千葉郡誌』)