桃山風市役所庁舎

395 / 492ページ
 戦前から、戦後の一時期、市場町通りには、ルネッサンス風の県庁舎と桃山風の市役所(現開発庁の敷地)が対峙していた。
 その桃山風建築の建物が、昭和十五年十二月十二日、移築された旧市役所庁舎である。この建物は、明治三十二年(一八九九)に、明治建築界の元老妻木頼黄が東京の日本勧業銀行の本店として設計したものである。妻木は、当時の欧化主義流行に対して、意識的に、公共建築に和風様式を採用したのである。その後、幾多変遷を経て、京成電鉄の所有となり、谷津遊園に置かれたが、市が数万円で譲り受けたものである。移転費に二万円を要し、その際高さが市街地建築物法に抵触するので、若干低くしたという。なお非常に由緒ある建物なので、昭和三十六年十一月、前市庁舎建築の際、解体して、稲毛海岸に移転し、現在は千葉トヨペット株式会社が営業所として使用している。

昭和15年に完成した桃山風建築の旧市役所(千葉トヨペット株式会社本社)