食料増産の必要から昭和二十年十月、閣議決定された緊急開拓事業の一つとして、翌年十一月、国営の印旛沼干拓事業が着手された。そのための排水路として、印旛水路(花見川)が掘削(くっさく)されたが、その掘削土を利用して、海面の埋立が行われた。この事業は情勢の変化で中断されたが、後に県の手にゆだねられ、中小工場の用地造成を目的として既埋立地を加え、合計六〇ヘクタールの埋立造成を計画し、三十三年六月から掘削土埋立を開始し、三十九年に完了した。
この埋立地の主な進出企業は、次のとおりである。
千葉畜産工業株式会社――県内の畜産振興と、肉畜の流通の合理化による生産者・消費者の利益向上をめざして県と県内農業団体の出資による、県策会社として、昭和三十二年五月設立された。しかし、経営不振となり、三十七年一月から丸紅飯田・日本冷蔵の参加を得て、今日に至っている。家畜類は山武・君津両農協を中心に入手する。
三菱石綿(旧三好石綿)――県の誘致企業で、昭和三十六年七月操業開始。スレートや自動車及び産業機械用ブレーキラインニングの製造を行う。原料の石綿は三菱商事から入手する。特殊車用ブレーキバンド製造では全国首位である。
千葉味噌工業――従業員一〇人たらずの企業であるが、県味噌工業協同組合員の有志が、味噌工業の協業化をめざして設立したもので、県の斡旋で立地した。原料大豆は晴海から、塩は瀬戸内ものを千葉港経由で入手する。製品は各株主の名がつけられて販売される。
内外地図――地図専門の印刷工場で、稲毛地区から移転立地した。一貫作業で地図製作をする工場である。
丸紅飯田――県の誘致で立地した。四十年から丸紅飯田の下請け会社紅和工業が、丸紅飯田の受注した防衛庁用天幕・隊員用ザック・郵政用袋・日産自動車のカーマットなどを製造している。