千葉市北部工業団地

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 これは、国道一六号線沿いに六企業、県道旭船橋線沿いに六企業と、やや集中的な立地を示した。

 この地域は大部分もと軍用地であり、戦後開拓農地として解放されたもので、地形平坦で、工場用地への転換並びに取得が容易であった。交通は、国道と県道で東京及び京葉臨海地帯との結合ができる。

 ただ、ここに立地するにあたっては、電線・電話・水道・排水施設などはなく、その上国道も未整備であるなど、問題が多かった。全く、将来の発展を期待しての立地であった。用地は進出企業が個々に、直接地主と交渉して買収した。そのため、登記その他でトラブルが生じた例もあった。

6―25表 昭和34年以降に市外から市内に進出した事業所の立地理由(35事業所)
立地理由該当数
工場増加16
市場接近9
安く広い土地を求めて7
敷地拡大のため6
労働力を求めて5
工場移転5
関連企業に吸引されて4
親企業に吸引されて1
原料を求めて1

・35事業所の聞き取り調査による。
・靴下団地・鉄鋼団地は除く

 この地域は現在、千葉市北部工業団地と呼ばれるが、初期に進出した主な企業は、

 大石産業――進出第一号。本社は北九州市。大正十四年創業。昭和三十四年十月、園生町に工場建設、クラフト紙袋・樹脂袋の製造を行う。

 市原埋立地に進出第一号の旭ガラスと取引き関係にありまた関東の大市場に進出のため当地に立地した。原料のクラフト紙は、愛知県春日井市から鉄道便で連ぶ。製品の半数は県内に出荷される。

 二宮産業――市街地から郊外への移転第一号。昭和二十三年寒川で創業。金属加工と機械製造を行う。公害問題の発生を予防して、昭和三十五年八月長沼町に工場を移転させた。主取引き先の日立亀有工場との結合を考え、国道一六号沿いに立地した。当時この付近は全くの原野であった。現在、本社工場の長沼工場のほか、千種鉄工団地内工場と真岡工場を持つ。なお、鉄工団地は、同社社長が中心となって結成したものであり、輸送用設備機械・機械加工・建設機械・軽合金加工の四部門をもつ。

 東洋酸素――本社は品川区。昭和三十五年九月、園生町に液体酸素気化充填工場を建設し、昭和三十七年には、液体酸素・窒素・アルゴンの製造を開始した。空気清澄で、川鉄やその他の大口需要先に近接していて非常に有利であった。しかしながら、需要先が県北に移り、交通渋滞も加わって、立地上の利点は減少してきた。

 鬼怒川ゴム工業――県内ゴム工業の雄。市内陸部進出企業中、最大規模を誇る。昭和十四年、江戸川区で創業。昭和二十二年五月、自動車ゴム部品の製造開始。昭和三十四年十二月、長沼町に用地取得、昭和四十三年には第三期工事が完了し、六工場、一技術センターを持ち、自動車ゴム部品の生産体制を確立した。昭和三十九年、本社も長沼町に移し、名実共に当市に定着した。原料のゴムは横浜港経由でトラック輸送され、製品は日産自動車などに納入する。工場用地の拡張難のため、真岡市に用地を取得、工場を増設した。

 日本高圧瓦斯――日本カーバイドの関連会社。昭和三十五年九月、犢橋を本社所在地として創業。溶解アセチレンを製造する。原料のカーバイドは、富山県魚津市から、鉄道便で運ばれる。製品は、江東地区を主とし、川鉄・新日鉄に出荷する。

 石突製作所――昭和十四年江東区で創業。昭和三十六年から、犢橋地区で建築用H型鉄骨を製造する。

6―9図 千葉市北部工業団地

 千葉市北部工業団地以外では、

 赤原鉄工所千葉化工機工場――昭和十年目黒区で創業。三十五年十二月、県の誘致工場として浜野町に進出した。当千葉工場では、化学機械プラント、プラスチックライニング、各種機械の製造を行い、京葉臨海工業地帯の川鉄・新日鉄などに出荷する。原料は東京都内や、川鉄・新日鉄から得、酸素は長沼町の東洋酸素から購入する。

 千葉セラミック工業――本社工場稲毛東。昭和三十五年に電子工業用高周波絶縁体の製造を開始した。生産拡大のため、愛生町に工場を増設、四十四年に生産を開始した。

 帝国石油(株)千葉鉱業所――わが県の天然ガスは、水溶性で、メタンの含有量・発熱量共に高く、家庭用燃料のほか、化学工業原料・工作用として重要である。昭和二十六年ころから、内湾地帯でも天然ガスの開発が進められ、千葉・船橋などでも試掘に成功し、内陸地域も有望なガス田であることが確認された。

 帝国石油では昭和三十四年十月以来、県下の天然ガス開発を行い、同年十二月には、当市原町五六六番地に千葉鉱業所を設置した。当市周辺の開発は三十六年八月からで、三十七年四月以降、工場用・都市ガス用・圧縮ガス用の天然ガス供給を開始した。三十七年十二月、千葉市に京葉パイプライン(株)が設立され、県北西部に対する都市ガス原料の供給が本格化した。千葉地区では、源町・原町・高品町を中心に二五坑あり、現在使用されているのは一三坑ほどである。ガス井の深さは千~二千メートルである。帝石よりのかん水は、六方町の伊勢化学(株)千葉工場に送られ、沃素製造の原料になっている。現在、市内で天然ガスを採取しているのは、帝石のほか関東天然ガス開発(株)・大多喜天然ガス・東京ガスである。天然ガスの需要は増大しているが、地盤沈下が発生し問題となっている。