長沼・草野・犢橋・園生地区の千葉北部工業地帯は、台地に個々ばらばらに工場を建設した地域であるので、工業地域としての条件は、望むべくもなかった。そこで地区別に協議会が誕生したが、昭和四十一年四月には、千葉市内陸企業連合会として一体化された。名誉会長は千葉市長、事務局は市商工課におかれている。この会は内陸各企業の親睦と結束を図り、企業間の共通問題に対処し、会の発展を期することを目的とし、環境整備・労務・防災・文化・福利厚生の各事業に専門部会を置いて行っている。同会発行の資料で四十五年度現在の参加製造業の内容をみると次のようである。製造業は四三で、三十六年の進出が一番多く、一〇企業であった。
(一) 本社所在地――二五企業が東京都内であり、なかでも中央区が九で圧倒的に多い。当市内のものは一四、うち一三企業は当地区に本社を置く。関西地区のものが四あるが、臨海部の親企業に吸引されたものや、関東の大市場を求めて立地したものである。
(二) 企業の内容――金属加工の八を第一に、一般機械の五、酸素・ガス等の五のほかは化学・窯業土石等多様な業種の企業がみられ、これらが街道沿いに不規則に配列して立地している。
(三) 資本額――最低二百万円、最高百億円で格差が大きいが、総体的にみると一千万円から五億円程度の中堅企業が中心を占めている。
(四) 用地面積――最少千百平方メートル、最大は三八万六千平方メートル。一万平方メートル以下が二〇企業で、用地面積では、小さいものに集中度が高い。
(五) 従業員規模――最少一三人、最多一、五五八人と大差があるが三〇~二五〇人の企業が三一と圧倒的に多く、この面からも中堅企業が集中して立地した地域といえる。
さて、この連合会は、内陸企業の総合的発展を目的とするものであるが、この会は製造業関係のほかに、販売・倉庫・石油スタンド等も加わって構成されている。製造業関係に限ってみても、資本・従業員数・用地面積・製造内容などに差が大きく、玉石混淆の連合会であるといえる。そこで、連合会が一体となってといっても、企業の内容や、規模によって、例えば、騒音・臭気・排水についてみても、企業によって態度・対策が異るし、近代化への意欲、資金調達力の差異もあり、また時には利害が対立することも考えられ、事業遂行に困難が伴うことが予想される。
そのほか、国道一六号線沿いの園生地区では、工場の立地につれて従業員を対象とする商店などが立地し、それにつれて一般住宅もでき、工商住地域となった所も一部にみられ、従業員にとっては、何かと便利にはなったが、工場操業の点からみれば、騒音・臭気などの公害も発生している。