本市域における農業の土地利用状況は、全市域面積に対して二三パーセントであり、農地五、八二〇ヘクタールのうち、水田は一、九〇六ヘクタール、畑三、八三七ヘクタール、樹園地七七ヘクタールとなっている。農家戸数は六、八九八戸で、全市内世帯数の四・八パーセント(人口は七・二パーセント)、平均経営規模は八二アールにすぎない。農地と農家数の県内に占める率は、それぞれ三・八パーセント、四・三パーセントである。
千葉市は、首都圏近郊整備地帯に位置しており、都市型農業の特色を示している。市街地の後背には広い農業地域を保有し、緑地生産地域として県内一位の農業粗生産額をあげ(県内に占める比率四・一パーセント)、経営の多様化が著しいが、一戸当たりの所得は必ずしも高くなく、専業農家と兼業農家の格差がますます大きくなってきた。作目については、米・麦・落花生などが減少し、野菜・畜産が伸びており、需要に応じた作目の普及がみられる。
これは、畑地かんがい実施や、主産地造成施策の推進、ビニールハウスによる周年集約栽培の普及、畜産の多頭羽経営の進行、生産施設の共同利用、生産物共販体制が促進された結果と考えられる。
全体的に農家所得は向上しているが、依然として他産業との格差があるうえ、都市化による農地の潰廃、地価上昇、農業後継者不足、老令化による意欲減退など経営不安な状況下にある。昭和四十五年七月からは、市街化区域と市街化調整区域を分ける、いわゆる「線引き」と、米の生産調整、減反政策など、深刻な問題が生じてきた。農業はこの新しい情勢に応じた転換の岐路に立たされている。市街化調整区域は、優良農地を保全して、農業振興の方向を定める時にいたっている。都市環境保全の見地からも、農業に対する認識が強まりつつあり、農業の今後に対し問題は山積しているが、希望や期待も大きい。