工業の現状

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 千葉県の製造業出荷額は、昭和四十一年に全国一一位、昭和四十五年には八位と躍進した。この間にあって、千葉市は昭和四十一年全県出荷額の二五パーセントを占め県下第一位を誇った。しかし、昭和四十三年には市原市の発展におされ、出荷額二、八八四億円、全県の二〇パーセントで第二位となった(六―五三表)。昭和四十五年の出荷額は四、〇八六億円、一八パーセントで県下第二位である。市原市は臨海工業地帯の本格的稼動に伴って、出荷額が急増し、昭和四十三年には二四パーセントで一位となり、昭和四十五年には二位の千葉市以下を断然引きはなした。

6―53表 千葉県,千葉市と周辺諸市の事業所,従業員,出荷額
昭和34年比率41年比率43年比率45年比率
事業所数(所)
6,9161008,3271008,6301009,623100
千葉市50476588785994810
市原市1382228326733273
市川市4817681873388058
船橋市2864454550866307
従業者数(人)
92,687100199,082100235,174100272,384100
千葉市15,6831731,9401635,4841538,91814
市原市969113,192719,883826,16210
市川市11,5981220,4271022,4731025,4869
船橋市6,956717,100920,209921,9728
出荷額(億円)億円
1,6091008,91810014,12310023,353100
千葉市524322,210252,884204,08618
市原市71,719193,408245,63424
市川市20212927101,19981,8198
船橋市15610876101,30991,7588

(『千葉県工業統計調査結果報告書』などより作成)

 昭和四十五年現在の千葉市工業は次のようである。昭和四十五年は、昭和三十四年を基準にすると、事業所一・九倍、従業員数二・五倍、出荷額七・八倍となった。事業所、従業員の増加に比べ、出荷額の増大は約三倍で、この一〇年間に生産増大と生産性の向上が著しかったことがうかがえる。

 産業中分類による事業所数、従業員数、出荷額と比率は六―五四表に示すとおりであり、それを部門別にしたものが、六―五五表である。

6―54表 千葉市における事業所数,従業員数及び出荷額(昭和45年12月現在)
事業所数比率従業員数比率一事業所当従業員出荷額比率一事業所当出荷額
総数億円千万円
95010038,929100414,08610043
食品187204,71812255411328.9
繊維313426114144.6
衣服50540018102.1
木材木製品333272861.8
家具装備品5863111581.5
パルプ,紙22223010125.6
出版,印刷818922211202.4
化学17247512834120.0
石油,石炭51,05532113549707.0
ゴム71,5854226812115.4
なめしがわ15127831.9
窯業,土石3941,555440105326.9
鉄鋼18216,262428982,325571292.0
非鉄金属113071283027.6
金属製品140153,8801028252618.0
一般機械8993,020834161418.1
電気機械4141,46443653112.9
輸送用機械2326982303515.3
精密機械162271495.7
その他677995215324.8

(『千葉市の統計工業編』より作成)

現千葉市域
①事業所数
34年504100
41年658130
44年929184
45年950188
②従業者数
34年15,683100
41年31,940203
44年37,095236
45年38,929248
③出荷額
億円
34年524100
41年2,210422
44年3,527674
45年4,086781
6―55表 千葉市における部門別事業所内容(昭和45年12月現在)
事業所数従業員数出荷額1事業所当り従業員1事業所当り出荷額従業員1人当り出荷額
億円千万円万円
総数95010038,9291004,08610041431,050
軽工業583619,95626752181713755
化学工業2933,1158468121071621,504
重工業3383625,858662,86670766851,108

(『千葉市の統計工業編』より作成)

 軽工業部門は、市製造業の平均値より低く、特に一企業当たりの従業員及び出荷額は二分の一にもみたない。

 化学部門は、従業員・事業所当たり出荷額とも三倍前後を示している。

 重工業は、従業員規模では、市平均の一八倍余りであるが、出荷額は二倍にみたない。

 従業員三〇人以上の事業所は、六―五六表に示すように、一四二工場であり、昭和四十二年の一二二工場より二〇工場の増加である。

6―56表 千葉市における従業員30人以上の工場数(昭和45年)
30~299人300~999人1000人以上30~299人300~999人1000人以上
食品251127非鉄金属1001
繊維縫製4004金属製品加工211022
木材,木製品,家具2002一般機械161017
パルプ,紙2002電気機械器具130013
出版,印刷5005輸送用機械7007
化学7007精密機械3003
石油,石炭,ゴム,皮革1023その他6006
窯業,土石111012
鉄鋼91111総計13354142

(『千葉市の統計工業編』より作成)

 三〇人以上の従業員をもつ企業の内容をみると、その比率の高いのは鉄鋼を第一として、化学、窯業土石、電気機械、輸送用機械の各製造業であり、逆に低いのは、家具、木材加工、衣服縫製である。

 従業員千人以上を擁する事業所は四である。最大は川鉄の一万五六九六人で、これは千葉市の製造業総従事者の四〇パーセントを占めている。次は長沼町の鬼怒川ゴム工業で一、四八五人、第三は食品コンビナート内の山崎製パンで一、二一一人、第四は川鉄構内の川鉄化学の千人である。

 昭和四十六年十二月現在の主な工場分布地域をみると六―五七表のようである。本庁地区が一五、犢橋地区が五、生浜地区二、幕張地区三、誉田地区一、土気地区二、で総計二八町である。

6―57表 千葉市における事業所10以上の分布地域と主な内容(昭和46年)
町名事業所数主な内容町名事業所数主な内容
長洲一丁目10食3,印出4犢橋14化学6,機械5
稲荷12食4長沼10食3,金属加3
院内10食4千種25金属加13,機械11
道場北14食3,家具3長沼原15金属加4,機械4,化学2
道場南19食9,六方13金属加3,窯土5,化学3
亀井14食4浜野12金属加3,機械3
新宿一丁目11食4,家具4塩田10金属加6
新港23食14幕張五丁目18金属加5,機械4
弁天10食3長作18金属加5,食3
椿森12印出6天戸14金属加3,ゴム3
園生19金属加5,機械5,化学3誉田二丁目16金属加5,家具3
20印出4,金属加4,機械4土気13機械7,食5
桜木10食3越智13繊維13
今井一丁目10食4
蘇我二丁目10機械428町

(『千葉市の統計工業編』)

 各地区別に企業の製造内容をみると、

(一) 本庁地区――企業の大部分は食品製造であるのが特色である。その他、出版印刷、家具装備品製造も著しい。園生、都町地域は、金属製品、機械類に中心があり、異質な存在である。

(二) 犢橋地区――食品製造は少なく、金属製品加工、機械類製造、化学工業、窯業土石が集中的に立地している。

(三) 生浜地区――川鉄関連企業が多く、金属製品加工、機械類製造が集中立地している。

(四) 幕張地区――金属製品加工が主である。

(五) 誉田地区――家具装備品と金属製品加工が主である。

(六) 土気地区――繊維関係の集団立地に特色があり、食品、機械類製造も比較的多く、内容的には単純である。


 以上のほか、千葉寺町の七企業のうち四が家具装備、長洲一丁目の七企業のうち四が印刷、本町一丁目の七企業のうち五が印刷、栄町の九企業のうち五が食品、幕張六丁目の八企業のうち四が衣服、野呂町の九企業のうち六が木材・木製品製造など同種企業が集中立地する点に特色がある。

 今後の工業団地としては、用地造成が完成したものに、市開発財団による古市場工業団地があり、目下用地買収と造成が行われている県の計画による土気地区工業団地がある。