自動車交通の増加

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 千葉市における自動車登録台数(陸運事務所調)の推移をみると、合計で、昭和三十五年に一万一七九九台だった。それが昭和四十年には、三万四五五台と二・六倍も増加した。しかし、このころをピークとして、昭和四十四年は、二万八九七六台と約五パーセントの減少をみている。特に、普通貨物車、小型貨物車、小型乗用車に減少が目立っている。モータリゼーションが急速に進行しているとき、しかも、都市の拡充が著しい千葉市において、自動車台数が減少の傾向を示したのは疑わしい。これは、実際に自動車台数が減少したのか、車庫の関係で数字の上のみの減少か事実は明確ではないが、恐らく後者に原因があろう。それは、「自動車の保管場所の確保等に関する法律」の適用地域が、昭和四十年九月に、人口一〇万人以上の市地域においても適用され、自動車の保管場所証明が必要となったからである。つまり、青空駐車の禁止である。一方、千葉県全体の自動車増加率をみると、昭和三十五年から四十年にかけて一四五パーセント、四十年から四十五年にかけて一七一パーセント増加した。

東関東自動車道宮野木料金所

 千葉市街地にはいれば、そこからは房総半島の主な都市や東京へ直通できる主要道路が放射状にでている。換言すれば、房総半島の主要道路は鉄道と同様に、すべて千葉市へ集中する形をとっているといえる。現在、千葉市と結ぶ主な道路は次のとおりである。

 京葉道路  昭和三十二年に国道一四号線のバイパス道路として工事を開始した。昭和四十一年に千葉市幕張町まで、同四十四年に千葉市殿台町まで開通し、国道一六号線と結んでいる。現在、殿台――浜野間の工事がすすんでいる。京葉道路は、首都高速道路とも結合して東京――千葉間の重要なパイプとしての役割りを果たしている。

 東関東自動車道鹿島線  京葉道路の千葉市宮野木町から分岐し、国道一六号線と交差(インターチェンジがある)して新東京国際空港(成田)へと延びている。

 国道一四号線  千葉街道が基礎となっていて、千葉――東京間を結ぶ、幅員五〇メートルの重要幹線道路である。交通量が年々増大するため、東京湾湾岸道路を立体的に並行して建設する予定がある。

国道14号線拡幅工事

 国道一六号線  東京の都心部を通過しないで、東京周辺地域と結ぶ環状道路で、木更津・千葉・大宮・八王子・横浜を結ぶ。千葉市街地から穴川――長沼――柏方面が開通して交通量は増大している。また、これは国道一四号線と臨海で結合して、木更津方面へ延びる臨海道路となり、交通量は急増している。

 国道五一号線  いわゆる佐倉街道である。千葉市街地――四街道――佐倉――成田――佐原方面から鹿島、水戸へとつながる。

 国道一二六号線  一般に東金街道といわれる道路である。千葉市街地――坂月――野呂――中野――東金――成東から銚子方面へと延び、九十九里浜平野や両総台地の地方都市と結んでいる。幅員が狭く、交通渋滞が問題になっている。

 主要地方道路としては、

  千葉――大網線

  千葉――茂原線

  千葉――勝浦線

  千葉――停車場線

  千葉(幕張)――鎌ケ谷線

  浜野――四街道――長沼線

  日吉――誉田停車場線

  幕張停車場線

 一般県道としては

  旭――船橋線

  幕張――八千代線

  実籾停車場――穴川線

  稲毛停車場――穴川線

  稲毛停車場――稲毛海岸線

  千葉――臼井――印西線

  本千葉停車場線

  浜野停車場線

  蘇我停車場線

  千葉――川上――八街線

  誉田停車場――中野線

  土気停車場――千葉中線

  土気停車場――金剛地線

国道126号線
6―30図 国県道路網現況図
6―70表 都市計画道路整備計画(昭和47年3月)
番号路線番号路線名幅員(m)計画延長(m)完成延長(m)
1広路1千葉駅富士見町線50440440
2広路2幕張町村田町線43―5015,4008,200
3広路3長作町浜野町線30―5718,6900
4広路4幕張海岸馬加線608400
51.1.1大金沢町誉田町線402,7200
61.1.2浜野町村田町線361,6500
71.2.1塩田町誉田町線25―329,3500
81.3.1村田町線285600
91.3.2幕張海岸東鉄砲塚線22―281,1800
101.3.3桜木町大草町線18―224,8203,160
111.3.4蘇我駅前線22300300
121.3.5高品町桜木町線221,850300
131.3.6誉田駅前線254700
141.3.7通町誉田町線15―2312,8703,200
151.3.8幕張町長作町線253,4700
161.3.9幕張町武石町線256100
171.3.10貝塚町若松町線22―255,9100
181.3.11矢作町星久喜町線251,2200
192.1.1吾妻町中央港線201,2601,260
202.1.2千葉寺町赤井町線18―204,1400
212.1.3今井町宮崎町線18―201,440750
222.1.4千葉駅中央港線16―181,4201,040
232.1.5登戸町桜木町線18―234,6701,870
242.1.6新港横戸町線20―2113,3702,500
252.1.7京成千葉駅都町線18―262,4112,411
262.1.8園生町柏井町線16―189,7002,650
272.1.9源町大森町線18―208,3200
282.1.10西千葉駅稲荷町線18―507,1901,350
292.1.11幕張町弁天町線16―1811,480400
302.1.12千葉駅若松町線18―205,5001,550
312.1.13東寺山町山王町線185,230782
322.1.14小中台町院内町線204,5002,250
332.1.15稲毛駅北口線186060
342.1.16浜野町大金沢町線185,2200
352.1.17稲毛町茂呂町線16―6820,8301,950
362.1.18要町寒川町線16―362,3101,960
372.1.19桜木町小倉町線183,400500
382.1.20坂月町谷当町線181,890950
392.1.21仁戸名町古市場町線185,0000
402.2.1柏井町三角町線16―203,470360
412.2.2通町吾妻町線15―16380380
422.2.3吾妻町線16380380
432.2.4本千葉駅本町線15470470
442.2.5三角町線161,9200
452.2.6本町吾妻町線10―221,0901,090
462.2.7椿森町黒砂町線11―161,8601,560
472.2.8通町道場北町線16―261,070660
482.2.9犢橋町三角町線161,7500
492.2.10要町羽衣橋線16―201,0201,020
502.2.11本千葉駅新宿町線16360360
512.2.12富士見町線15500500
522.2.13長作町小深町線168,3300
532.2.14新田町村田町線15―187,180410
542.2.15浜野町中西町線16―203,6600
552.2.16幸町中央港線163,8503,850
562.2.17検見川町畑町線162,470230
572.2.18幕張町線161,2900
582.2.19富士見町弁天町線10―16720190
592.2.20原町小深町線163,9400
602.2.21松波町新港線16―303,2802,210
612.3.1富士見町線12230230
622.3.2本千葉駅長洲町線13―18570570
632.3.3富士見町本千葉町線12―15530530
642.3.4吾妻町線9―15200200
652.3.5寒川町千葉寺町線11―152,7201,000
662.3.6市場町星久喜町線16―222,5700
672.3.7幕張町検見川町線121,220770
682.3.8市場町葛城町線12―166900
692.3.9富士見町新宿町線12830830
702.3.10中央港黒砂町線8―383,5403,180
712.3.11作草部町亀岡町線111,410800
722.3.12通町道場北町線11―151,580780
732.3.13長作町線121,6100
742.3.14富士見町京成千葉駅線13240240
752.3.15新宿町新町線12860420
762.3.16弁天町登戸町線11690420
771小1亥鼻町千葉寺町線89000
781小2新田町新宿町線10310310
271,38163,783
23.5%

(『千葉市長期総合計画』)

6―31図 都市計画道路整備計画

 これら、千葉市の道路網をみると、基幹道路としては四本の国道があって、更に、主要地方道が国道から分岐している。以上の道路が放射状に延びて、これらを結びつけるのが県道である。また、駅中心に道路がでている。これらのほかに市道がある。市道は総延長二千五百キロメートルといわれるが、舗装率は二四パーセントと低い。特に郊外ほど低下している。

 千葉市を通る主な道路のうち、若干のものについては交通量調査が行われている。これをもとにして、交通量の推移、実態などの概要をみよう。

 昭和四十六年十二月に、市内主要道路交通状況調査(一二時間)が実施された。『市勢調査資料』(昭和四十七年、千葉市企画調整局)によってその結果をみると、自動車交通量の目立って多い道路は、京葉道路と海岸道路で、ともに千葉――東京間を結ぶものである。

 京葉道路は貨物自動車と乗用自動車が約半々であるが、海岸道路は貨物自動車が約五七パーセントで乗用自動車をやや上まわっている。京葉道路は船橋市の調査(二四時間)であるが、昭和三十六年に一万六二一九台、三十九年には三年間に八六パーセント増加し、四十四年には五年間で三五パーセント増加している。一方、海岸道路(一四号、一六号の国道両線)は昭和四十四年(二四時間)の調査で、平均四万五四二九台が通過している。特に、七~一九時までは一時間に二千~三千台の車が通り、貨物自動車が過半数を占めていた。この道路は産業道路の色彩が強くなっているといえよう。

 次いで交通量が多いのは、内陸部の国道一六号線、国道五一号線、国道一二六号線、千葉――大網線である。これらの道路も交通量は年々増加している。貨物、乗用別ではほぼ半々であるが、わずかに乗用自動車が多い。昭和四十四年(二四時間)の調査では、国道一六号線は七~一九時までに一万七七九〇台が通り、朝八~九時、夕方五~六時にピークがある。乗用自動車が過半数を占めていた。千葉――大網線は千葉方面に向かう自動車が、大網方面に向かう自動車の約二倍の量となっている。朝八~九時、夕方六~七時の千葉方面への車はいずれも一千台を越える。

 運行速度は京葉道路が高速であることと、市街地が低速であることは当然だが、海岸道路は片側二車線のためか大量の車両が通過する割には高速である。千葉市が都市として拡充しているとき、しかも、ますますモータリゼーションが進展している今日、幅員の広い、接続の容易な道路建設が望まれる。

 千葉市のバス交通は、京成バス、小湊バス、東洋交通バス、東洋バス、千葉交通バスの五社によっている。しかし、このうち、京成、小湊、東洋交通の三社によって大部分が握られている。また、これらのバス企業は、京成系資本が多くはいり、京成バスの独占的色彩が濃厚であるといえる。各社の路線分布は、前記「京葉臨海工業地帯」に手際よくまとめられている。すなわち、外房線(または千葉――大網線)を境として、北側が京成電鉄、南側が小湊鉄道の分布地域となっており、境界の千葉――大網線上及び、その支線的な短距離の路線を含む狭い面積の範囲を、東洋交通の路線が占めている。国鉄千葉駅及び京成千葉駅をターミナルとする多数のバス路線は、その大部分が、四〇~六〇分程度の所要時分を半径とする圏内に分布し、成田・八街・東金・大網・茂原・木更津はこの圏の限界に位置し、更に外側の地域に向かうバス路線のターミナルを形成する。これらのバスターミナルより近い地域には、大きなバスターミナルはなく、この圏内では鉄道を仲介としないで直接千葉と結びつくことができる。

 千葉市の場合、バス交通は朝夕の通勤、通学の時間帯を除けば、鉄道の運転本数が少なくなる間をぬって、鉄道と競合する場合もみられるが、通勤・通学時間帯にあってはもちろん、鉄道の発着時刻に合わせる補助線的、支線的な役割りを果たしている。これは、バス路線網をみれば更に明確で、国鉄・京成両千葉駅、鉄道沿線駅をターミナルとし、あるいは経由している。

 バス路線を更に概観してみると、国鉄、京成両千葉駅から中心商店街を経由して、県庁、市役所などの官庁、臨海工業地帯の工場正門、大住宅団地などを結び、朝夕は片道のみ混雑する形になっている。また、路線別に昭和四十六年度の一日平均乗車人員三千人以上を前記『市勢調査資料』によってみれば次のようになっている(○印小湊、△印東洋交通、無印京成である。)。

 路線名      乗車人員        運転回数

 小倉団地    一五、六二六       一一七・〇

 千葉寺     一三、八九二       一二二・五

 姉崎○      九、七四一        五三・五

 大宮団地△    九、五八〇       一〇四・〇

 花見川      七、九四三       一八四・五

 東金       七、二二〇        八二・〇

 白旗△      五、八〇三        八〇・〇

 大学       四、六二八       一二五・〇

 辰巳団地○    四、五五一        三六・五

 循環       四、二三四        五六・〇

 穴川       四、一〇〇        八二・〇

 千草台団地    三、八六七       一二二・〇

 あやめ台団地   三、三〇〇        九〇・〇

          一回平均人員     区間距離(キロ)

 小倉団地       一三四        一二・六

 千葉寺        一一三         九・三

 姉崎         一八二        二四・〇

 大宮団地        九二         九・二

 花見川         四三         五・一

 東金          八八        三五・一

 白旗          七三         七・三

 大学          三七         二・二

 辰巳団地       一二五        一八・一

 循環          七六         九・五

 穴川          五〇         九・九

 千草台団地       三二         二・八

 あやめ台団地      三七         四・六

(大宮団地線は三系統を合計したものである。)

 乗車人員の多い路線は、住宅団地と駅を結んだものが最も目立ち、あと臨海工業地帯、市街地(官庁)と駅を結んだものである。東金線は鉄道と同じ役割りも果たしていると考えられる。したがって、千葉市のバス交通は、朝は住宅団地――バス――各駅――バスまたは鉄道――通勤・通学地の形をとり、夕方はこの逆となっている。このようなタイプは、大都市(東京)郊外に一般にみられるものである。そこで、新興住宅地(団地)ができれば、たちまちバスの新路線ができたり、既存路線が経由したり、増発になったりして運転本数が増加する。

6―32図 市内主要道路交通量観測地点図
6―71表 主要道路交通量状況(昭和46年12月)
路線名観測地点観測地点名歩行者自転車荷車・牛馬車動力付二輪車自動車類平均運行速度
乗用自動車乗合自動車貨物自動車
国道km/時
14号線1登戸町3丁目15876161816,04268421,17837,90440.7
京葉道路2幕張0009312,39217114,08726,65072.0
3宮野木0009710,4102009,92320,53376.7
16号線4上横戸305821344,2961406,72111,15737.2
5天台4812405147,7826367,87416,29219.7
6椿森1,10033627108,4623905,84514,69720.5
7寒川135136651813,86469618,93133,47229,1
51号線8貝塚45323845437,4943845,79513,67319.8
126号線9野呂543231625,5622865,80011,64840.8
10加曾利54596103306,9735706,42513,96829.6
主要地方道千葉大網線11千葉寺65513454191,2144363,97810,22630.6
12誉田74122203023,9501543,2757,38139.9
千葉停車場線13栄町1,32613641822,353871,2763,71624.9
一般県道浜野,四街道,長沼線14佐和3910451723485391,31034.4
実籾(停)穴川線15宮野木764303134,4531154,2468,814
16小中台2,26834243724,6734974,1319,301
稲毛(停)稲毛海岸線17稲毛4丁目3,84446074553,9974623,4007,859
千葉川上い街線18下泉618241710347421,486
誉田(停)中野線19中野21749465504567121,272
土気(停)千葉中線20土気66247810158590207961,406
土気(停)金剛地線211,1772565179624357341,393
幕張(停)線22幕張5丁目12,7413680126712644351,211
木千葉(停)線23新宿町1丁目1,0921621546010,7165407,86519,121
浜野(停)線24浜野8771,780277112765923310992
(注)12時間調査

(千葉市企画調整局)

 一方、千葉市のバス交通は、東京の通勤圏に包含された形のほかに、千葉市のもつ都市的性格からもう一つの特徴を示している。千葉市の人口増加は著しく、また、工業化に伴って官庁、企業、銀行などの業務地域が拡充した。また、増大する消費人口を対象にデパート、有名店などの大型店や洗練された商店が進出して商店街を密にした。これら業務・商店街への人の集りも多く、市街地交通量を増加させている。周辺の千葉市商圏も拡大しており、地方中心都市的な交通形態もでている。バス路線が市街地にさまざまにはいり、また、経由していることは、それを物語っている。