下水道建設計画

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 都市の生活基盤として排水施設が重要である。雨水下水道は降雨による市街地の侵水を防ぎ、汚水下水道は水洗化によるし尿の処理や家庭、工場などの汚水を浄化して川・海に放流し、川・海の水質汚濁を防ぐ施設である。これらは公共下水道事業で建設されているが、都市の拡大が急速であるので、その事業量はますます大きくなっている。下水道事業を歴年的にみればつぎのとおりである。

 昭和十一年  都市計画事業として中央排水区(排水面積四六・六ヘクタール)を第一期事業として着手。

 昭和十三年  第一期事業を完成。

 昭和十五年  第二期事業として市街地全域の排水計画をたてて着手したが、第二次大戦のために中止。

 昭和二十四年  戦後に第二期事業として長洲排水区(七一ヘクタール)を着工。

 昭和三十年  長洲排水区を完成。ひきつづいて北部第一排水区(一七五ヘクタール)、北部第二排水区(一一五ヘクタール)、西部排水区(三七ヘクタール)、神明排水区(八ヘクタール)、本千葉排水区(二九ヘクタール)、新宿排水区(四五ヘクタール)を対象として、第三期事業(費用一一億円)の認可をうけ、一五年計画として着手した。

 昭和三十六年  大宮団地(排水面積五五ヘクタール・排水人口七千人)の処理場建設に着手。

 昭和三十八年  小倉団地(排水面積七〇ヘクタール・排水人口一万人)の処理場建設に着手。

 大宮処理場の運転開始。

 昭和四十年  小倉処理場の運転開始。中央処理場第一期計画として、処理面積五二八ヘクタール、処理人口九万四千人(事業費九億八千四百万円)を着手。

 昭和四十一年  第三期事業に本町排水区(六五ヘクタール)、出洲排水区(三三七ヘクタール)を追加して変更の認可をうける。

 坂月(千城台)団地(排水面積二一三ヘクタール・排水人口二万八千人)の処理場建設に着手。

 昭和四十二年  新検見川団地(排水面積七八ヘククール・排水人口一万六千人)の処理場建設に着手。

 昭和四十三年  中央処理場第一期事業を完成して運転開始。坂月処理場の運転開始。

 昭和四十四年  稲毛排水区(一一七ヘクタール)、黒砂排水区(三一六ヘクタール)、東寺山排水区(一六三ヘクタール)、犢橋排水区(八〇ヘクタール)、出洲排水区(二八〇ヘクタール)などを第三期事業に追加し、変更認可をうける。

 印旛沼流域下水道事業(県施行の昭和四十三年度より一五ヵ年継続事業)の変更決定により、千葉市(計画面積三、四六二ヘクタール・計画人口二三万三千人)が加わり、関係一二市町村となり、千葉市も事業費の一部を負担する。

 昭和四十五年  中央処理場の第二期事業として、処理面積一、一三六ヘクタール、処理人口九万四千人を対象として着手。

 昭和四十七年  検見川排水区(三九三ヘクタール)、稲毛海浜排水区(四三〇ヘクタール)の印旛沼流域内の一部認可をうける。

 昭和四十七年  中央処理場の第二期事業を完成。

 中央処理場の第三期事業の着手。

 昭和四十八年  南部処理区(計画面積六、七九九ヘクタール、排水人口五七万人)のうち、水質汚濁防止区域である都川、村田川の流域を中心に、南部処理区の市街化区域を対象として、計画面積一、二三六ヘクタール、計画人口九万八千人の事業認可の申請。

 北部処理区、稲毛西部海浜排水区(三四〇ヘクタール)の事業認可の予定。

 以上のように千葉市の公共下水道は、第三次下水道整備五ヵ年計画がすすめられている。この計画は昭和四十六~五十年の期間に、計画面積一、二九〇ヘクタール、計画人口一五万二千人である。これを基礎として、昭和六十年までに計画面積一万三千五百ヘクタール、計画人口九四万三千人を整備しようとしている。そのために計画面積を中央処理区、南部処理区、北部処理区に分けている。中央処理区は市街地中心部である。その計画面積は一、六六五ヘクタール、計画人口二〇万五千人であり、その進捗率は七〇パーセント(昭和四十五年)であった。南部処理区は、都川、村田川の水質汚濁を防ぐ計画を含め、内陸の小倉団地、千城台団地、大宮団地、東寺山団地なども将来は処理する。この計画面積は六千八百ヘクタール、計画人口五七万人であり、その進捗率は五パーセント(昭和四十五年)である。北部処理区は県施行の印旛沼流域下水道区域であり、千葉市内の分は計画面積五、〇四〇ヘクタール、計画人口五〇万人である。この中に海浜ニュータウン、さつきが丘団地、こてはし団地などの大規模な住宅団地が含まれている。その進捗率は三パーセント(昭和四十五年)である。

6―52図 公共下水道計画

 千葉市の都市排水は地形が平坦であるから困難である。排水系統は花見川、鹿島川、村田川などの一、二級河川と六方下水路、草野下水路、浜田川下水路などの都市下水路がある。これらの上流部には大規模住宅団地が造成され、それぞれ処理場や調整池などがつくられている。しかし、民間の宅造地や市街地周辺のスプロール地帯にはこのような施設はほとんどない。そのため、市内を流れる中小河川に雨水と生活廃水の流出量が増加している。これに加えて天然ガスの採取や深井戸からの工業用水の過剰汲み上げなどによって地盤沈下を発生させている。そのため河川の流末には、家屋の浸水や農地の冠水などの被害が発生している。