都川河口の公共物揚場、公共桟橋には、五百重量トン用四バース、三百重量トン用三バースが用意されていた。しかし、次第に大型化する入港船舶、隻数の増加、取扱い貨物量の増大と多様化などの趨勢から新たに埋立地を造成して公共埠頭の拡大を計画した。そして、昭和三十九年度より千葉港中央地区に中央埠頭造成のための埋立に着手した。昭和四十二年、約二七〇億円の事業費をもって、面積六〇八万平方メートルの埋立地を造成し、ここに、外貿用を中心とする公共埠頭をはじめ、内貿施設を築造して商業港地区としたほか、サイロ、製粉等の食品コンビナート、流通団地、自動車団地、幸町住宅団地などが整備された。また、昭和四十四年からは中央埠頭A岸壁が完成し、その使用が開始された。更に、昭和四十六年には中央埠頭B・C岸壁が完成して使用開始されている。
現在の千葉港中央地区の公共諸施設を『千葉港要覧』(一九七二年、千葉県)、『千葉みなと』(第百号、特別記念号、一九七一年、千葉港振興協会)によってみれば次のとおりである。
繋留施設
埠頭名称 延長(メートル)
中央埠頭A岸壁 二〇〇
同 B岸壁 二〇〇
同 C岸壁 二〇〇
中央埠頭一号物揚場 九〇
同 二号物揚場 二八一・四
同 三号物揚場 二五〇
同 四号物揚場 一三〇
出洲埠頭A岸壁 一三〇
同 B岸壁 一三〇
同 C岸壁 一三〇
同 F岸壁 九五〇
出洲埠頭一号物揚場 六〇
同 二号物揚場 二三七
同 三号物揚場 一二一
同 四号物揚場 一〇七・五
繋船数
水深(メートル) 重量トン バース
(一)一〇・〇 一五、〇〇〇 一
(一)一〇・〇 一五、〇〇〇 一
(一)一〇・〇 一五、〇〇〇 一
(一) 四・五 一、〇〇〇 一
(一) 四・〇 五〇〇
(一) 四・〇 五〇〇
(一) 四・〇 五〇〇
(一) 七・五 五、〇〇〇 一
(一) 七・五 五、〇〇〇 一
(一) 七・五 五、〇〇〇 一
(一) 五・五 二、〇〇〇 一〇
(一) 四・〇 五〇〇
(一) 四・〇 五〇〇
(一) 三・〇 三〇〇
(一) 三・〇 三〇〇
荷さばき施設、保管施設
上屋名称 棟数 面積(平方メートル)
県営上屋 二 八五八
出洲一号上屋 一 一、四三五
県営中央一号上屋 一 五、二五〇
出洲埠頭Aヤード 一〇、七四四
同 Bヤード 一〇、七四四
同 Cヤード 一〇、七四四
中央埠頭Dヤード 六、二五七
同 Eヤード 八、二四〇
同 Fヤード 八、三三一
荷さばき地所在地 面積(平方メートル)
中央埠頭二号物揚場 一、八七〇
同 三号物揚場 二、四一〇
同 四号物揚場 九〇〇
出洲埠頭B岸壁 二、五九〇
同 C岸壁 三、七七〇
同 F岸壁 一三、九六〇
出洲埠頭一号物揚場 一、六六〇
野積場所在地 面積(平方メートル)
中央埠頭三号物揚場 九、六一〇
同 四号物揚場 二、八三〇
出洲埠頭B岸壁 三、七二〇
同 C岸壁 三、七七〇
同 F岸壁 二一、〇三〇
出洲埠頭一号物揚場 二、〇七〇
同 二号物揚場 四、〇八〇
同 四号物揚場 四、六五〇
給水施設
所在地 数量 能力
出洲埠頭A岸壁 一 五〇
同 C岸壁 一 五〇
出洲埠頭二号物揚場 三 五〇×三
同 三号物揚場 一 五〇
(給水能力は最大一時間当たりトン)
中央埠頭は外国貿易を主眼としたもので、水深マイナス一〇メートル、一万五千トンの繋留施設三バースが完成した。また、中央一号上屋五、二五〇平方メートルも整備された。一方、出洲埠頭は国内貨物輸送を中心にし、五千トン三バース、二千トン一〇バース、ほかに五百トン以下の小型船物揚場がある。その背後には、広い荷さばき地や野積場があり、陸揚げされた物資を保管する公共上屋がある。これらの諸施設の使用には定められた使用料を支払うようになっている。出洲埠頭には、信号所、監視所があり、出入船舶のコントロールをしている。また、碇泊船と陸上間の連絡ボート発着所、船員サービスセンター、海員会館、港湾労務者アパートなどがある。このような公共施設のほかに、港の荷役作業、代理店なども誘致され、海運業、港湾運送業、倉庫業、ひき舟業、水先人会、海員組合、各種商店などがはいっている。一方、中央埠頭には、千葉港湾事務所をはじめ、運輸省千葉港工事事務所、港湾合同庁舎(税関、海運局、海上保安庁、検疫所、入国管理事務所、測候所など)、植物防疫所、水上消防署、水上警察署など、港湾関係官公署を配置するようになっている。
千葉港中央地区の公共埠頭は、まだ建設途上にある。千葉港地図の中でみる限りではわずかな広がりしかないが、千葉市民の生活と結びついた港湾であり、港湾に関する中枢機能を果たす上で、まさに、核心的地域となっている。ここからは、近年の長距離大型フェリー時代に呼応して、昭和四十七年から千葉――徳島間に長距離フェリーが発着するようになった。また、この公共埠頭の完成にともなって千葉港は流通拠点の一翼をにない、そのヒンターランドとしての千葉市域に多くの影響を与えると思われる。そのためには公共埠頭と流通センターが一体化した地域内にあって総合的に流通機能を発揮できることは合理的である。しかし、何といっても公共埠頭にはいる貨物量が増大することが予測されるとき、それにみあう交通、特に円滑な道路交通の確保が必要である。そのとき、はじめて、海上と陸上とのターミナルとしての商業港の役割りが十分に果たせることになる。