海洋公民館事業

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 千葉市稲毛町海岸に全国的にも珍しい海洋公民館が開館したのは昭和四十一年五月のことである。市の東京湾沿いの海岸は明治以降、貝類、のりの養殖に加えて、海水浴や、潮干狩りなど久しく市民に親しまれ、住民は海と密接に結びあって、生活してきたのであるが、近年、工業用地等の造成のため埋立てられてしまった。昭和四十年海上保安大学練習船として遠洋航海及び海外在留邦人の引揚輸送にも従事した「こじま」(昭和二十年海防艦として建造)の払下げが発表されると、時の千葉市長宮内三朗は熱心に払下げを要望し、遂に千葉市に譲渡されたといわれる。

 昭和四十年十月から翌年五月にかけて船内の改装工事を行い、千葉市稲毛海岸一番地の三二号地先の海面に係留され、「こじま」は市の海洋公民館に生まれかわったのである。海に関する正しい知識を普及し、海洋スポーツの振興を図り、市民文化の向上を目的に、(一)公民館事業、(二)資料館事業、(三)ヨット港事業等を行っている。本館は宿泊設備が整備されており、各種団体、教育機関の合宿研修会の施設として利用され、昭和四十六年度中には六六団体、一、三七〇人余りが、これを利用している。特に夏季には子供会の宿泊施設として開放し、海事思想の普及に大きく貢献したと報告されている。なお、昭和四十三年度から、稲毛海岸の埋立工事が始まり、将来は「こじま公園」の一角に水上に浮ぶ姿で、市民に開放され、「船のある公園」となって、市民に広く利用されるものと期待される。

海洋公民館「こじま」