公安状況

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 工業化・都市化の著しい千葉市は、人口の伸びも急速であり、昭和四十六年四月、全国一五番目の五十万都市に仲間入りしたが、推計によると昭和五十五年代には、人口百万人を超えた日本有数の巨大都市になるといわれる。

 都市は、人々にとって生活する上に便利であり、働く場所や機会も数多く提供されているほか、誰にも気がねのいらない精神的自由さや、すぐれた文化的環境に接触する機会をたえずもてる反面、さまざまな生活意識や生活経験を有する大量の異質的な人々の集群によってもたらされる相互の利益の相剋や摩擦、価値観の相違や欲望をとおしての葛藤、都市特有の匿名性による連帯感の喪失や自己責任の回避などにより、都市繁栄のなかに、社会病理現象としての犯罪や自殺、青少年非行などが陰湿にうごめいている。

 今や世界は、「都市の時代」に入ったともいわれているが、都市における犯罪は、その繁栄に比例してますます増大の一途を辿り、それは質的にも多様化・大型化・高度化してきて、治安維持にあたり新たな問題をつぎつぎに提供してきている。犯罪や、青少年問題をはじめとして、自殺・貧困・交通・住宅・公害など都市問題は人類の新しい課題とさえいわれている。