少年非行概況

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 華やかな都会生活に憧れ、農村部より都市部に流入した勤労少年が、職場内の人間関係や労働条件に耐えられず、転職・離職をくりかえし、より不安定な職種へとエスカレートし、欲求不満も手伝って、あげくは盛り場への出入となり、非行化へと急傾斜していくもの、また、学業不振などから学校生活に不適応をきたし、ついには脱落して不良集団のメンバーとなるもの、及び本来楽しかるべき家庭生活がその機能を失い、親子が反目しあい離反しあって、ついには家を飛び出し非行の世界に浸るものなどその事例は多い。

 六―一四七表は、千葉中央・南両署で取扱った家出人捜索の状況である。家出そのものが、直接に犯罪や非行につながるとはいえないが、少年非行を考えるうえで、一つの参考ともなろう。

6―147表 千葉市内における家出人捜索願出取扱状況(昭和46年度)
内訳学校・職業別年令別原因別合計
就学前小学生中学生高校生大学生各種学校勤人労務者従業員その他一八歳未満一八~二〇歳二〇~六〇歳六〇歳以上家庭営業職業・事業疾病犯罪その他
警察署
千葉中央13516222818114331177745115388710129
012186218039913719120113211134116177
千葉南02104201375112172511055232954
0123022111211033901110203852
151520424125165452241025612043101039183
0242164391401124722159114312136154229
171941106802656166994626162043256161193412
県全体1208110221132381801483932571307773325979230100314981,197
09551221422147222256342851527932053829585825651,250
12913622435353852023731,0275422821,57053797108288158331,0632,447

(「防犯少年課関係統計資料」県警昭和46年度)

 家出人を学校別・職業別にみると、学生では、高校生が最も多く、職業別では、「その他」に含まれる不安定な職業、特別の技術を必要としない単純労働的な職種に多くみられる。特に注目されるのは、女子の数が他を圧倒していることで、単純なサービス的職種からくる職業としての不安定さと、さまざまな誘惑、人間関係の相剋などから家出するというケースがみられる。年齢別において、二〇歳未満が全体の三五パーセントを占めていることは、家庭教育の在り方とからんで今後考えていかなければならないことであろう。

 家出人を原因別にみると、家庭の事情を原因とするものが二〇四名もおり、全体の四九パーセントを占めている。しかも、男子の六一名に対し、女子は二倍以上に当たる一四三名で、家庭における複雑な家族構成によるトラブルや経済的問題、それに人間関係などが主に原因しているものと思われる。

 非行少年たちは、相互に関係を求めあって、学校集団・地域集団・職業集団・盛り場集団といったグループを構成し、非行の態様は、それぞれの集団により多少の相違がみられる。地域・学校・職場の集団は、窃盗犯罪を首位として、粗暴犯罪・凶悪犯罪・風俗犯罪がこれにつづき、盛り場集団は、粗暴犯罪を主体として、凶悪犯罪・窃盗犯罪がこれにからんでいる。これら非行少年らの補導状況をまとめてみると、六―一四八表に示すとおりである。

6―148表 千葉市内における非行少年等補導状況(昭和46年度)
非行別刑法犯ぐ犯不良行為
殺人強盗放火強姦暴行傷害脅迫恐喝窃盗詐欺横領賭博わいせつその他
千葉中央11014214113193000192492,583
千葉南01010301240000131289
120152171142170001102802,872
県全体21444944119111261,6423508862,11317,661

(県警『防犯少年課関係統計資料』昭和46年度)

 千葉中央・南両署における刑法犯罪の補導内容をみると、もっとも多いものは窃盗罪で、補導総件数二八〇件のうち二一七件を数え、全体の七七パーセントを占めている。これは、県全体についても同様な傾向がみられ、その手口としては、空巣ねらい、車上ねらい、万引き、自転車盗み、忍び込みなどが主になっている。つぎに多くみられるものは、傷害罪・強姦罪・恐喝罪で、おどしや、たかり、そして性犯罪という少年犯罪の典型的なパターンがみられる。また、ぐ犯不良行為では、喫煙・夜遊び・怠学・飲酒・不健全娯楽・不純異性交遊・家出などに件数が多く、前年同期に比して、怠学、不良交友の増加が著しい。年齢別では、一五歳から一九歳にかけて顕著であり、なかでも高校生が圧倒的に多い。

 最近、シンナー・ボンド・セメダインといった接着剤遊びが青少年の間に流行し、死亡事故を生じているにもかかわらず、補導されるものはあとを絶たない。千葉中央・南両署での補導状況をみると、昭和四十四年度においては、四〇九名で県全体の一九パーセントを占め、昭和四十五年度は、四一九名で一八パーセント、昭和四十六年度では、三五八名で一二パーセントの割合を示し、わずかながらも補導件数は、下降線を辿ってきている。