首都圏内に位置する本県は、人口の伸びは著しく、年間の自然増は五万人を超え、また移動人口増は、一〇万人以上を数えている。この著しい人口増は、首都東京に隣接する地域にみられ、京葉地域には、県総人口の四三・七パーセントに当たる人口が集中し、同じく東葛地域は、一八・二パーセントを占め、両地域をあわせると、県人口の五分の三以上がこの地域に分布し、人口の過密現象をきたしている。このような人口の分布状態に対する警察官の配置状況をみると六―一五一表のとおりである。
区分 | 定員 | 定員率(%) | 人口 (47.1.1) | 人口分布率 (%) | 警察官1人当たり人口負担 | ||
警察署 | |||||||
京葉・東葛地域 | 京葉地域 | 千葉中央 | 346 | 12.4 | 407,082 | 11.4 | 1,177 |
千葉南 | 93 | 3.3 | 109,324 | 3.1 | 1,176 | ||
習志野 | 123 | 4.4 | 185,528 | 5.1 | 1,508 | ||
船橋 | 282 | 10.1 | 396,039 | 11.0 | 1,404 | ||
市川 | 217 | 7.8 | 296,262 | 8.2 | 1,365 | ||
市原 | 121 | 4.3 | 168,680 | 4.7 | 1,394 | ||
計 | 1,182 | 42.3 | 1,562,915 | 43.5 | 1,322 | ||
東葛地域 | 松戸 | 168 | 6.1 | 273,536 | 7.6 | 1,628 | |
野田 | 56 | 2.0 | 82,798 | 2.3 | 1,479 | ||
柏 | 179 | 6.4 | 298,959 | 8.2 | 1,670 | ||
計 | 403 | 14.5 | 655,293 | 18.1 | 1,626 | ||
小計 | 1,585 | 56.8 | 2,218,208 | 61.6 | 1,400 | ||
上記以外の警察署 | 1,190 | 43.2 | 1,353,971 | 38.4 | 1,137 | ||
合計 | 2,775 | 100.0 | 3,572,179 | 100.0 | 1,287 | ||
昭和四十七年度における本県の警察官の定員は、四、〇一〇名で、そのうち警察本部関係九六五名、警察学校関係二七〇名を除いた二、七七五名の警察官が県下各署に配置されている。このうち京葉地域には、約四三パーセントに当たる一、一八二名の警察官が配置され、同じく東葛地域には、約一五パーセントに当たる四〇三名が置かれている。両者をあわせ京葉・東葛地域としておさえると、定員にして一、五八五名、およそ県下全警察署の五分の三に当たる警察官が、この地域に配置されていることになる。これを警察官一人当たりの人口負担率でみると、京葉・東葛地域は、千四百人で、他地域の平均一、一三七人、及び県下全警察署の平均一、二八七人を大きくうわまわる負担率になっている。しかもこの地域は、刑法犯罪が県全体の認知件数の約七割、件数にして二万七千件発生する犯罪多発地域であるだけに、防犯対策にも一段と悩みが深まってきている。
本県における一、二八七人という一人当たりの人口負担は、埼玉県に次いで全国第二位に位置する高い人口負担であり、これを人口数で匹敵する福岡県と比較すると、福岡県は、人口四百万人に対して八千人の定員を確保しているのにくらべ、本県は、三六〇万人に対して、四、〇一〇人であり、人口においてあまり差異がみられないのに、定員数では半分近くの差を生じている。人口増加は、今後も急激にすすむものと予想されるし、今までみてきたように、本県は、全国的にも最右翼に位置する犯罪多発地域及び交通事故発生地域でもあり、警察官一人一人にかかる負担は、ますます過重になってきている。
さて、これを千葉中央・南両署についてみると、警察官一人当たりの人口負担は、ほとんど差異がみられず、両署とも県平均を下まわる数値を示しているが、両署の管轄下は、犯罪捜査や防犯・交通事故処理など公安出動が頻繁な地域であるだけに当然の配慮であろう。両署における警察官の負担状況を各面からみてみると六―一五二表に示すとおりである。
区分 | 警察官数 (47.1.1) | 人口 | 面積 | 刑法犯 | 交通事故 | |||||
警察署 | 住民登録人口 (47.1.1) | 1人当たり負担 | 面積(km2) | 1人当たり負担 (km2) | 47年中認知件数 | 1人当たり負担 | 47年中発生件数 | 1人当たり負担 | ||
中央署 | 346 | 407,082 | 1,177 | 155.14 | 0.45 | 6,747 | 19.5 | 2,459 | 7.1 | |
南署 | 93 | 109,324 | 1,176 | 98.99 | 1.06 | 1,061 | 11.4 | 823 | 8.8 | |
計 | 439 | 516,406 | 1,177 | 254.13 | 0.58 | 7,808 | 17.8 | 3,282 | 7.5 | |
県下全警察署 | 2,775 | 3,572,179 | 1,287 | 5,078.86 | 1.83 | 40,223 | 14.4 | 18,751 | 6.7 | |
千葉中央署の定員は、三四六名で県下全警察署の一二・四パーセントに当たり、県最大の人員を擁している。同じく南署は、九三名で県下の三・三パーセントを占めている。警察官一人当たりの面積負担は、平均〇・五八平方キロメートルで、県の平均面積負担を下まわっているが、両署を比較すると南署は、中央署にくらべ二倍の面積負担になっている。また、刑法犯負担については、逆に中央署が南署の二倍にあたる負担を示し、都心部に位置する警察署の特色をあらわしている。これを刑法犯中最高の件数をもつ窃盗犯についてみると、警察官一人当たりの窃盗認知負担率は、関東管区内平均七・三九件及び県平均一〇・〇四件に対し、中央署は、一四・五件と高率を示している。ほかの刑法犯罪とあわせ県下最大の犯罪多発地域であるだけに、捜査や検挙、及び送検や防犯活動などといった治安にかける努力も多大である。
交通事故一人当たり負担は、県の平均をうわまわる数値を示している。千葉市市域における発生件数は、県総発生件数の一七・五パーセントにも当たり、交通事故最多発地域になっている。特に、南署は、中央署の一人当たり負担七・一件にくらべ、八・八件と負担率は高く、また一人当たりの面積負担も二倍であることからして、ともすると交通事故の処理に精一ぱいということにもなりかねない。