公園や緑地は、市民の憩いの場であるとともに、保安や健康の増進並びに保健面からも重要な機能をもっており、悪化しつつある都市の生活環境の中において、その果たす役割りは大きい。
最近、都市化の進展にともない、緑が急速に破壊されてきていることから、政府は、これを防止するため「首都圏近郊緑地保全法」を制定し、緑の破壊については、県知事への届出及び許可を要することとして、大幅に制限を加えた。千葉市においては、誉田地区・泉地区の一部約七三四ヘタクールがこの適用をうけ、「東千葉近郊緑地保全区域」として、特別に保全を図っている。これとともに、市では、「緑化の推進及び樹木の保全に関する条例」を定め、補助金や補償金などの措置を講じ、樹林・樹木の保存をすすめている。また「緑の銀行」を新たに設定し、家庭で不用になった樹木や、宅地造成により切倒されそうな樹木を無料で預かり、一定期間「銀行」で育成したあと、市街地の学校や公共用地に移植しようとしている。
これらは、既存の緑の保全を目的とした施策であるが、より積極的に街路・家庭・工場・各種施設の緑化並びに公園・緑地の建設をすすめて千葉市は緑と太陽の輝く健康都市をめざしている。
現在、公園として多くの市民に親しまれているものに、泉自然公園、千葉公園、亥鼻公園、中央公園、みなと公園、加曽利貝塚公園、乳牛育成牧場公園などがあるが、市全体では、六―一五四表にみられるように、チビッコ広場や緑地などを含めて、二三二カ所、一八〇ヘクタールの面積を有している。
区分 | 都市公園 | その他の公園 | ||
数 | 面積(m2) | 数 | 面積(m2) | |
普通公園 | 3 | 253,136 | ||
運動公園 | 2 | 259,776 | ||
風致公園 | 1 | 390,495 | ||
近隣公園 | 14 | 257,510 | ||
児童公園 | 149 | 303,702 | ||
緑地 | 4 | 229,596 | ||
チビッコ広場 | 30 | 27,857 | ||
その他の公園 | 29 | 71,502 | ||
合計 | 169 | 1,464,619 (うち県立都市公園2カ所199,260m2) | 63 | 328,955 |
(『市政概要』市議会事務局編 昭和47年)
これらの公園のうち、千葉公園と泉自然公園について、その利用状況をみてみると、千葉公園は、池を含む約二一ヘクタールの土地に、野球場・陸上競技場・プールなどの運動施設、動物舎・児童遊び場・野球広場・ボート池・展望台・茶室などの各種の施設や設備がなされ、かつまた、国鉄千葉駅に近いということから、利用者は、全市域に及び、年間一日平均入園者は、およそ六千人を数えている。四十六年八月並びに十月における市公園課の調査結果によると、入園は、八月一日(日) 一万二九八三名。八月三日(火) 九、〇七八名。また、十月十七日(日) 八、〇五六名、十月二十九日(金) 一万七九三五名となっており、多くの市民に親しまれているようすがうかがえる。
これに対し、泉自然公園は、市の中心部より東方一三キロメートル離れた泉町に設けられており、広さ四三ヘクタールの土地の六割は山林で、自然の形状を生かし、草原・花木広場・県木広場・お花見広場・外来樹広場・菖蒲池・湿性植物園・水鳥池・蓮池といった施設がなされ、市民の憩いの場として、また、自然観察の場として、多くの市民に愛されている。
泉自然公園の利用状況は、六―一五五表にみられるとおりであるが、利用者は、市内に限らず県の内外にも及び、四十五年十一月から四十六年十月までの年間利用者数は、二三万人にも達している。また、季節的には春と秋に利用者が多く、団体の入場者が目だっている。
年月 | 全利用者数 | 団体利用者数 | 内訳 | ||||||
市内 | 県内 | 県外 | |||||||
45.11 | 29,320 | 12,905 | (71) | 7,690 | (30) | 1,992 | (16) | 3,223 | (25) |
12 | 3,520 | 928 | (8) | 564 | (4) | 114 | (2) | 250 | (2) |
46 1 | 3,770 | 154 | (3) | 35 | (1) | 0 | 119 | (2) | |
2 | 5,600 | 105 | (3) | 105 | (3) | 0 | 0 | ||
3 | 16,890 | 6,812 | (66) | 2,171 | (35) | 1,465 | (16) | 3,176 | (15) |
4 | 33,903 | 9,872 | (79) | 4,273 | (37) | 3,425 | (27) | 2,174 | (15) |
5 | 56,988 | 19,437 | (111) | 4,473 | (37) | 4,684 | (23) | 10,280 | (15) |
6 | 24,566 | 16,583 | (86) | 4,745 | (31) | 4,139 | (19) | 7,699 | (36) |
7 | 8,371 | 1,894 | (32) | 926 | (23) | 645 | (7) | 323 | (2) |
8 | 12,520 | 1,400 | (17) | 460 | (9) | 360 | (4) | 580 | (4) |
9 | 15,364 | 5,535 | (35) | 2,061 | (18) | 1,958 | (10) | 1,516 | (7) |
10 | 23,206 | 9,472 | (56) | 4,194 | (26) | 1,802 | (14) | 3,476 | (16) |
計 | 234,018 | 85,097 | (567) | 31,697 | (254) | 20,584 | (138) | 32,816 | (175) |
(泉自然公園事務所調べ)
公園・緑地は、年を追って整備されてきているが、市民一人当たりの公園面積は、約三平方メートルで、都市公園法による一人当たり六平方メートルの基準までには、かなりのへだたりがみられる。市では、昭和六十年代までに、一人当たり一〇平方メートルの公園面積を確保すべく、土気地区に昭和の森(面積一〇〇・九ヘクタール)稲毛埋立地先に海浜公園(面積五六ヘクタール)、多部田に平和公園(面積三五ヘクタール)の早期造成を図るとともに、花見川リバーサイド、植物公園、動物公園、歴史公園などの造成計画をはじめとして、近隣公園を人口一万人について一カ所を基準に、新たに八一カ所設置するほか、児童公園の造成を大幅にすすめ、公園・緑地の拡張を計画している。
最近、筑波研究学園都市の建設により、農林省畜産試験場など国の四機関が五十二年までに移転する計画を有していることから、市では、計七〇ヘクタールに及ぶ広大な跡地を公園・緑地などとして利用するため、市に無償貸与するよう、市民運動などをとおし、大蔵省や関係機関などに強く働きかけている。