千葉市は、地域文化の中心都市としての役割りをもっており、市民の文化的欲求にこたえ、精神的な豊かさを確立していくためにも、文化的施設の整備、拡充は急がれている。
千葉市の中心街に位置する亥鼻公園文化の森は、千葉市文化のシンボルであり、ここには、千葉市郷土館・千葉県文化会館・聖賢堂・県立中央図書館などが集っている。
千葉市郷土館は、四層五階建の「天主閣づくり」の建築様式で、昭和四十二年四月九日、約一億九千万円をかけて竣工した。内部には、千葉市の今昔と市勢を示す写真や資料、千葉市についての史料や文化財、千葉市の物産などが展示されているほか、プラネタリウムも設備されている。年間の利用者は、四十五年度において一五万人を数え、各種資料の鑑賞と屋上からの市街展望を楽しんでいる。
桜木町にある加曽利貝塚博物館は、南・北環状貝塚のうち、北貝塚内に位置し、昭和四十一年十月、三千三百万円をかけて竣工した。加曽利貝塚は、世界屈指の規模をもち、出土品は、学術的に高く評価されている。最近、都市化がすすみ開発の波が貝塚の周辺にまで及んできたことから、市は、史跡公園として保存すべく、この地域一帯を買収し、博物館・貝塚断面観察施設・復原住宅などを設け、往古を偲んでもらおうと施設の整備に努めている。また、博物館の近くに元禄年間に築造された武家風書院造りの代官屋敷を幕張町より移築し、観覧に供している。
博物館内には、土器編年上重要な位置を占める加曽利B式・E式土器をはじめとして、数多くの貴重な出土品が展示されており、市内はもとより県内外より多数の参観者がみえ、昭和四十五年度には、年間三万人を数えている。
図書館については、従来、亥鼻公園内に県立中央図書館を有するのみであったが、市民の要望にこたえ、新たに予算一億円余をかけ、昭和四十七年六月一日、市立北部図書館を小中台町に設置した。今後、市域を東・西・南・北に分け、逐次図書館を建設してゆく計画をもっている。
なお、このほかに千葉市移動図書館があり、二台の図書館車「いずみ号」により、市内五一ステーションを原則として月に二回巡回し、蔵書二万冊余を閲覧に供している。四十六年度における延貸出し図書数は、七万六千冊で、利用登録者は、一万人を数えている。
近時、市民の文化活動が活発化するにともない、集会や催しに気軽に利用できる施設を求める声が強まった。市はこの要望にこたえ、旧国鉄千葉駅跡地に市民会館を建設することにし、四十五年から工事にかかり四十八年四月二十九日に落成をみるに至った。総工費は約七億円、地下一階、地上四階で、内部には千人収容の大ホール・三百人収容の小ホール・会議室・結婚式場・披露宴会場などがあり、市民の集いの場、交歓の場として市民から広く利用されている。またこれとともに、白旗一丁目には、青少年の団体活動、余暇活動の場として、青少年センターの建設がすすめられ四十八年七月完成し、鉄筋四階建の内部には、ホール・講習室・料理実習室・美術室・音楽鑑賞室などが設けられている。また市立南部図書館が併設された。
市は、将来構想として、美術館・博物館・野外音楽堂などの建造のほか、文化講座の開設、文化祭、市民展への助成、文化財の保護など施設面の拡充とあわせ、積極的に文化活動をすすめようと意図している。特に文化財については、都市開発がすすむにつれて、破壊されたり新に発見されたりすることが多く、既存の文化財を含めてその保護は急務とされている。市内には、加曾利貝塚をはじめとする国・県・市指定の史跡や、有形・無形の文化財、天然記念物などが数多くあり、市民の共通財産、市民文化の歴史的よりどころとして、大切に維持する必要があろう。