4 都市づくりの主体

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 都市は、社会的動物ともいわれる人間が一定の地域に集まり、市民としての自覚と責任をもって行動し社会的合意に基づき、住み、働き、憩うなどのあらゆる生活活動の場である。生活の基地としての都市、そして住みよい都市は、そこにおいて個人が人間として創造の本能が満たされ、集団生活のための機能が有機的に構成され、社会制度が公正かつ円滑に運用されている場であり、人間の尺度に基づいた一定の空間としての総合システムである。

 こうしたあるべき理想の都市の実現に向って、われわれは信念と勇気と努力を結集し、その勇気と信念と不断の努力の前に、都市の未来は開かれている。

 都市は市民自らの手で造るという意識、そうした主体性や市民意識を強く高揚し、都市造りの主役を果たす者は市民であることが基本とならなければならない。

 いま、都市に求められているのは、局地的に都市の構造を改善することではなく、都市のあるべき姿を示す都市の哲学であり、あるべき姿に至る道すじを示す都市経営の理念である。そして、現実をきびしく認識し、具体策を提示していくことである。

 今後の都市づくりの主役はあくまでも市民であり、都市は市民の意志の総体を体現する自治体でなければならない。市民自らが、都市のあるべき姿を描き、様々な合意の過程を経て、これまで達成した科学的成果を総動員して実践すること、これが住みよい都市づくりの最も基本となるものであり、こうした気運を醸成し誘導することが自治体の役割りである。

 幸いにして千葉市は過密の弊害に悩むほかの大都市にはみられない緑豊かなオープンスペースと遠浅の海を埋立てて広大な新天地に恵まれており、住みよい都市を実現するための多くの可能性を秘めている。

 今、千葉市は人口五七万、近い将来百万にならんとする。この市民の意識とバイタリティを正しく結集すれば、われわれの祖先が残した恵み豊かな大地を更に住みよい都市「魅力と風格のある都市」にすることは決して不可能ではない。そして、そのことが現在のわれわれに課せられた大きな責務なのである。

 「住みたい場」、「住んでいたい場」、「住んでよかった場」そして、「子孫に残したい場」それが本市のめざす「魅力と風格のある都市」のイメージである。