かぜなおしの古俗

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 かつては海岸線のすぐ上に位置していた幕張町字堂の山に、今も地蔵尊が当時のまま祀られている。地蔵をおさめる小さな祠は数百本の木綿布で埋まり、石仏の地蔵尊にも数十本のさらし布、手ぬぐい等が巻きつけられている。

 この地蔵尊は、かぜなおしの霊験あらたかということで、かぜをわずらったとき、布を奉納して願をかけるのだという。

 もう一つ、同様な古俗をもつものに、作草部町の道路ぞいに「なわしばり石塔」といわれる「真言宗百万遍塔」がある。

 千葉公園前の国道十六号線を北へ向かい、千草台団地へ入る一五〇メートルほど手前の西側に、百万遍塔が見られる。碑面は道しるべの役割を果たし、その銘文は

(右側面)

       千葉町へ二十町

   享和元年酉三月吉日

(正面)

      右ながのま村よなもと道

    〓 奉唱念光明真言百万遍

      左そんのう村小中台道

(左側面)

       願主 千葉町

           柏屋浜兵ヱ

となっており、古くは「穴川のなわしばり石塔」とよばれたようである。

 かぜをひくとこの石塔をなわでしばり、なおると縄をといてお礼をしたという。