子供が誕生して、病いの多い不安定な時期をすぎ、七歳まで無事に育てあげると、ほんの少しではあるが育児について息抜きができるようになる。子供に関しての儀式や行事は七歳までが圧倒的に多い。
(1) 一歳
○ 名付け親
お七夜までに、子供に名前をつけるのだが、寺の僧侶、親類で格の上の者、信頼できる近所の人の中から、名付け親になってもらう。
名前をつけると、紙に書いて神棚へあげる(院内)。
○ お七夜(みつめ祝いともいう)
三つ目のおはぎといって、大きなおはぎを重箱に入れ、嫁方へ持ってゆく。また、出産の祝いをくれた家々へも配り、産土神へは、甘酒も一緒に供える(院内)。
三つ目祝いも含め、七歳までは取り上げ親が祝い事の正座を張る(土気)。生まれて七日目に行う。
○ 宮参り
初宮参りの日取りは、地域により異なる。
男女とも百日目(土気地区)。
男四二日目、女三三日目(園生)。
男三〇日目、女三五日目(院内)。
媒酌人や仲人の所へ寄ってから行く(土気地区)。
お宮の境内を何回か廻る(土気)。
お参りするとき、神前で子供がおしでないのを証明するため、鼻をつまんだりして、無理にでも泣かせた。
○ お食い初め(おくいぞめ)
一一〇日目に茶椀と御箸をそろえ、食べさせるまねをする。
○ 歩き始め
誕生日前に歩いた子供には、わざわざ重い力餅を背負わせ、ころぶようにする(院内、泉地区)。
(2) 三歳
○ むしふうじ(虫封じ)
子供が三つくらいになると、癇(かん)の虫を押さえるために、千葉寺で売っていた虫封じの箱を買って来て、虫をとじ込めて神棚に飾った(院内)。
(3) 七歳
○ 紐解(ひもと)き
七五三の祝いであるが、特に長男の七つの祝いが盛大だった。このときの衣裳は、方の家であつらえるが、嫁の男親が聟の女親と前もって見たてにゆく。嫁側からは衣裳以外に、反物や米も合わせて持ってゆく。当日、この返しとして、聟側からは籠餅と切り餅一斗分ほどを、嫁側へ届ける。近所の人へも、餅を配ったり酒を飲ませたりする。また、しらわ密柑とひねりを撒くのを在の人たちが拾いに来た(院内)。
切り餅を道々配りながら、嫁の実家まで行く。神参りは、全部の子供の七五三のときにするが、特に惣領のときだけは、婚礼のように盛大に祝う(泉地区)。
産土様に詣出て、その前後に披露の座を持ち、そこで飾りをつけた竹籠を贈る風習があった(武石)。
七五三の祝いは、子供の仲間入りの行事であるから、お参りをしたあとで近所の子供たちを招待し、お宮の階段の上から、餅としらわ密柑を撒いた(坂月)。
祝いに参会した人々が、取りあげの親にひねりを出すと、それを集めて、子供にお祝いとして渡す(土気)。
三歳、五歳、七歳、特に七歳のときには、稲毛の浅間様へお参りに行った。馬にこたつやぐらを載せ、ほかの子供たちとともに、ゆらゆらゆれて行った(院内)。
長男は、将来の家長候補者であるため、七歳を一つの成長の目途として祝ったのが紐解きである。
○ 病除けの儀式
「年中行事」の項に記した「ちゃわび」とか「疱瘡のむながし」がそれである。