2 祝儀唄

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   盆踊歌

○ 揃(そろ)った揃ったよ ほどよく揃った  稲の出穂より良く揃った

○ 盆の十四日に おどらぬ者は  木仏(きぶつ) 金仏(かなぶつ) 石仏(いしぼとけ)

○ 千葉の妙見寺のくじゃくの鳥が  稲穂くわえて 羽根ばたき

○ 千葉の名所は いのはな山よ  少し下れば 大和(やまと)橋

○ この夜踊りに まどわぬ人は  木仏 金仏 石仏

○ ここと千葉とが海ならよかろう  かわい あの娘(こ)が舟でよぶ

○ 佐倉宗五郎 子別れよりも  わたしや貴女(あなた)と 別れが辛(つら)い

○ かわい あの娘(こ)を 千葉によ置いて  私し 太田(おおだ)で 苦労する

                       (以上 坂月、太田地区)

○ おどりよ―― けすなよ―― 夜明け鴉(がらす)の啼(な)くまでも

○ ぼうさまほう―― 蜂にさされてよ―― 医者がたまげてさじなげた

○ 園生(そのう)の久右エムの西瓜(すいか)は真白西瓜 それで千葉へ持っていったら

                       三貫三百三十文だよ――

○ おどりおどるなら 品よくおどれ 品のよいのを嫁にとる

○ 盆の十六日にや いなびかびっかり 雷ごろしゃらえ――

                   (以上 園生地区、吉田公平 談)

○ 坊さまな山の道じゃ衣かすれる 衣はよ いくらすれても身はすれぬ

○ 障子あければ 院内よ むしろばたしのちょいと音がする

○ 揃った揃ったよ踊りこが揃うたよ 稲の出穂より よく揃ふた

○ 千葉の名所は 猪鼻山よ 向こうを眺めりゃ 袖が浦

○ いつか六月 千葉の祭り 稲がそよそよ 秋がくる

○ をどりけすなよ 夜明けまでも 夜明烏の あら鳴くまでも

○ 千葉と千葉寺 とよ竹かけて 水の便りを送りたい

○ 五田保(ごたつぽ)お稲荷さまは 赤いもんが好きだ 染めてやりたい べにがらぞめに

○ おれと やァべ やァべ 小仲台の せがけ せがけ もどりも 二人づれ

                 (以上 院内地区・和田茂右ヱ門 談)

○ 切れた切れた 人前ばかり  水に浮草 根は切れやせぬ

○ 盆だ盆だと 今日の日ばかり  明日は野山の 草刈りに

○ 千葉は千葉寺の やぐらの太鼓(たいこ)  いくらたたいても 夜は明けぬ

○ 米のなる木で作りし わらじ  踏めば小判の あとがつく

○ 田植すんだら 娘も嫁も  笠は かかしにやる心

○ 千葉と成田の境の芝を  可愛い女に ふませたい

○ 高津出るときは 涙で出たが  今じゃ 高津の風もいや

○ 盆の十三日に 出さない親は  親がじゃけんか 子が無理か

○ 心変えるな 世が変わるとも  梅が桜に 変わるとも

○ 私しゃ 野に咲く一重の桜  八重に咲く気は さらにない

○ おらが坊やは 三月生まれ  道理で お顔が桜色

○ 五月(さつき)田植に 泣く子がほしい  畦に腰かけ 乳のます

○ 死んでしまをか 穴川へ出ようか  死ぬにやましだよ 出たがよい

○ 人のきらいし  穴川さへも 今じゃ 都の花が咲く

○ 登戸 宮野河岸 遠浅なれば  しゃみや太鼓で 舟つなぐ

○ 天神山 もとをただせば鬼が出る  今は女郎部屋で 繁昌する