『千葉市政だより』の昭和三十九年五月号に、はじめて「千葉市の町名」を連載させて頂き、以来三ヶ年、各町の町名の起源および移り変りを、古文書や金石文などの資料を基礎にして、申し述べてきました。ようやく、全市を網羅したので、これを一冊にとりまとめてみることを思いつき、資料などを少々加筆して、一おう脱稿しました。
はじめは、非常な決意で執筆してみましたが、市の中心部から次第に新市域に向うにつれて、資料の収集に意外に手間どり、十分な目的を果すことができません。結局、竜頭蛇尾に終ったことは、お恥かしい次第です。
新旧かなづかいが混同し、また、当初は対話風にお答えするつもりで書いたので、不都合な点が多いと思います。しかるべく御判読下さるようお願いいたします。
引用の資料は、できるだけ原文に忠実に書き写し、書付などの表題で内容の不明なものには、簡単な説明を附し、年号には西暦年号を附記して、皆さまの便利をはかりました。また、資料の多い町については、煩雑を避けるため、資料を年代順に表示しました。
町名の起源を申し述べるのが、最初の目的でしたが、資料の関係で、それが果せない場合は、町名の移り変りをみる意味で、寺社・所領関係資料、古文書、金石文などから、町名の関係する部分を抜き出しました。
最後に、いろいろと資料を提供して下さった方々に、ここで深く御礼申し上げます。
昭和四十一年六月三十日
和田茂右衛門