緒言

 

大治元年千葉常重卿猪鼻丘に城居せられしより正に八百年、旣往を回顧して報本反始の情禁する能はず。茲に千葉氏祖宗の英靈を慰め、且其の史蹟に鑑みんと欲し、記念祭を行ふの議成り、常重卿の入城せられし六月一日を以て千葉神社に奉告祭を擧け、翌二日を以て大日寺に慰靈祭を行ひ、一日より五日間史料展覽會、史蹟講演會、史劇竝に諸種の會合餘興を催すことゝなれり。

是に於て千葉氏歷代の偉業を弘く江湖に知らしめ、永く顧念せしむる資料として、本書を發行頒布することゝせり。此書千葉大系圖は千葉氏の末葉重胤卿の執筆なりと傳へられ、千葉系譜十餘種中最も憑據すべき價値ありと稱せらるゝものなり。又更に其の目次を作製して索引の便に供し、且千葉氏六百年間の歷史を概觀せしめんが爲め、千葉家世紀を編して之に冠せり。讀者は彼此對照して千葉氏回顧の資とせらるれは幸甚。

 

 大正十五年六月一日    千葉開府八百年記念祭協賛會