真言宗では、『金剛頂経』と『大日経』を基本経典としています。このふたつを図に示したものが金剛界曼荼羅と胎蔵界曼荼羅です。ふつう、この一対を両界(両部)曼荼羅とよんでいます。
金剛界曼荼羅は、私たちがもつ信仰心の本来の堅固さを示し、大日如来の悟りの知恵に至ることを表現しています。胎蔵界曼荼羅は、私たちの生命も大いなる宇宙の生命の中に胎蔵されていることを示しています。
文政2年(1819)真言宗豊山派昇覚寺(東葛西7-23-17)の六世鑁慶と七世光岳の発願により、大和(奈良県)長谷寺の曼荼羅の模写がおこなわれました。地元檀信徒の喜捨と、学僧として著名であった鑁慶の力によるもので、地元東宇喜田村の弥五良が、浅草の画工とともに絵筆をとっています。