江戸川区は、しばらく前まで農村地帯でした。そして、村人の生活も、信仰と深く結びついていました。大地や天候など、人間の意志ではどうにもならないものが、生産と密接に関係していたからです。年中行事にも、出産から死に至るまでのいろいろな儀式にも、日常の仕事や動作の中にも、信仰に縁の深いものが多いのです。
なかでも祭りは、生産の豊かであることを祈り、あるいは収穫をともによろこびあう大切な行事でした。江戸川区の各村々も毎年こうした祭りでにぎわっていました。
無病息災を祈る夏越の大祓茅の輪くぐり(6月25日、北野神社、北小岩3丁目)、青年が女装して大般若経六百巻を納めた箱をかついで家々を走りまわる雷の大般若(2月下旬、真蔵院、東葛西4丁目)、厄除けの笹だんごを授ける笹だんご行事(旧暦6月15日、八雲神社、江戸川3丁目)、20メートル以上の大幟りを10本、人力でたてる勇壮なのぼり祭り(7月1日、のぼり立ては前日から、浅間神社、上篠崎町1丁目)などが区の文化財になっています。