古代、人びとは雨乞いや、大雨の害による日乞いのために、水の神に馬を捧げたと伝えられています。絵馬は、そうした奉納馬にかわって発生したものと考えられていましたが、今日では、神仏に画板を奉納して祈願や感謝の意志をあらわす風習がそれよりも早くおこなわれていたとされ、絵馬の起源にも再考の余地があるといわれています。
やがて、人びとの祈りも多様化するにつれて、絵馬の画題も広がり、庶民の生活とかかわりの深いものが増えてきます。とくに手軽に奉納できる小絵馬には、庶民の身近な祈りの姿がよくあらわれています。また、大絵馬(板絵額、額絵馬)は、奉納者の祈願や感謝の意志を地域の人びとにも示すことになり、地域の生活を色濃く反映するものとなりました。