[序文]

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 近代民芸運動の創始者柳宗悦さんは「工芸は雑器において凡ての仮面を脱ぐのである」といい、日常用具を生みだす手仕事の中にすぐれた工芸の美を発見しました。手仕事こそ品物に美しい性質を与える。柳さんは、これを「心の仕事」とよんでいます。
 今回は、平成と改まって以来、区の無形文化財・工芸技術保持者となった五人の作品から、近作・代表作をご紹介します。柳さんは「実用を離れるならば、それは工芸ではなく美術である」といっていますが、これらの作品はいずれも実用品として製作されたものです。「用の美」を備えた工芸、「心の仕事」というにふさわしい逸品と確信しています。
1989年度指定「千社額」 保持者 鈴木菊松
1990年度指定「日本刺繍」保持者 丸島玉恵
1990年度指定「漆塗り」 保持者 酒井 勉
1991年度指定「江戸木目込人形」 吉田 博
1991年度指定「木風呂」 保持者 吉原誠一