日本列島に人類が暮らし始めたのは、今からおおよそ3万年前と考えられています。そのころの気候は寒冷で、海水面が現在よりも低く、日本列島は大陸と陸続きでマンモスやナウマンゾウなど大型の動物がいました。人々は、岩陰(いわかげ)や洞窟(どうくつ)を住みかに利用して、移動しながら動物を獲り、木の実などを拾い集めて食料にしていました。動物をしとめたり、処理したりするためには、自然にある石を打ち割って形を整えた道具を使用していました。これを「打製石器(だせいせっき)」といい、使用していた時代を「旧石器時代(きゅうせっきじだい)(岩宿時代(いわじゅくじだい))」と呼んでいます。
1万数千年前頃には、気候が温暖となり、海水面が上昇して日本列島は大陸から切り離されました。温暖化に伴って、シカやウサギなど中・小型の動物が増加し、魚介類・木の実などが豊富となったことで、一か所にとどまって「定住(ていじゅう)」生活ができるようになりました。その様子は、当時のゴミ捨て場である「貝塚(かいづか)」からうかがうことができます。人々は、土をこねて焼いた器(うつわ)をつくり、煮炊きや貯蔵に用いました。土器(どき)には、表面に縄を用いた文様がつけられたことから「縄文土器(じょうもんどき)」といい、そこからこの時代を「縄文時代(じょうもんじだい)」と呼んでいます。人々は、地面に穴を掘り、柱を立てて、草や土で屋根を葺(ふ)いた「竪穴住居(たてあなじゅうきょ)」に住んでいました。住居の中央にある炉(ろ)では、火を焚(た)いて暖をとり、調理もしていました。その周りでは、弓矢につかう石の矢尻(やじり)など狩りの道具をつくったり、植物の繊維で編み物を編んだりしていました。