洞仙焼(どうせんやき) -江戸時代の焼き物-

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 江戸時代後期の備後を代表する焼き物に「洞仙焼(洞山焼)」があります。この焼き物は、現在の出口町洞仙で焼かれ、「西備洞山」、「洞山」などの銘が入れられ、郷土の風物などが多く描かれています。いつ頃からこの地で磁器が焼かれるようになったのか正確にわかっていませんが、甘南備神社(かんなびじんじゃ)(出口町)に奉納されている御神酒徳利(おみきとっくり)(写真)には、前面に「奉納」、後面に「天保(てんぽう)六(1835)未四月 宮内屋新五郎 土生屋新右衛門 九州肥後宇土郡菊助」の銘があり、この時期にはすでに窯が開かれていたことや九州の陶工が関わっていたことがわかります。
 出口町に残る窯跡周辺には、現在でも窯壁の煉瓦や窯道具の破片を石垣に再利用しているのが見られます。

甘南備神社に奉納された御神酒徳利 〔白磁製 2口1対 高さ42㎝ 胴廻り21㎝〕