南山古墳(みなみやまこふん) -地方の前方後円墳-

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 南山(第1号)古墳は、上下町水永と斗升町との境の峠近くにあります。広島県史跡に指定されている横穴式石室(よこあなしきせきしつ)をもつ前方後円墳(ぜんぽうこうえんふん)で、平成3年(1991)に石室内の発掘調査と墳丘(ふんきゅう)の測量調査が行われました。その成果から、墳丘は、全長約23m、後円部の直径約14.5m、前方部の長さ約8.4m、後円部墳頂と前方部墳頂の標高差2.5~3mで、墳丘の形態について、前方部が短小で後円部との標高差が大きなタイプであることがわかりました。石室規模は、長さ8.4m、奥壁(おくへき)の幅約2.5m、奥壁の高さ約2.2mで、石室内には、立柱(りっちゅう)状の石が突出して玄室(げんしつ)と羨道(せんどう)を区別しています。遺物は7世紀前半の須恵器(すえき)が出土していますが、石室の石材利用状況や庄原市唐櫃古墳(からびつこふん)に類似していることなどから、古墳は6世紀の終わり頃、約1500年前につくられたと考えられます。
 その頃は、備後地域は大きく南部と北部の2地域に分かれていたようです。南山古墳に見られる立柱状の石が突出する形態の古墳は、北部地域を中心に分布していることから、南山古墳は北部地域に属し、その南端に位置していたと考えられます。

南山古墳墳丘〔等高線は25cm間隔〕


南山古墳 墳丘


南山古墳の石室内部