備後銀行は、明治32年(1899)に芦品郡府中町に本店をおいて開業した銀行で、府中を中心とした地域が内陸部における産業の中心地となっていた状況を背景に、府中商工業者の機関銀行として設立されました。
設立当初の役員には、府中町と上下町の資産家が名を連ねています。設立当初の資本金20万円、払込資本金5万円で、払込資本金5万円のうち半額は上下町側が負担していたとのことです。
昭和初期の金融恐慌や世界的な不況の影響を受け、昭和9年(1934)に藝備銀行(広島銀行の前身)に吸収合併され解散しましたが、それまでの約35年間、数々の合併話に加わらず単独営業を続け、府中の商工業者を支えた地方銀行でした。