藤岡市/藤岡デジタル博物館

藤岡の暮らしの文化

Fujioka lifestyle culture

関東平野と関東山地にまたがる藤岡。水田の耕作から畑作、河川での漁労、林業など、多様な生産活動・生活の営みがあり、それを支える道具・モノたちも多彩です。生産の機械化や生活の画一化が進む以前の、かつての藤岡の自然・生活のなかに使われてきた道具・モノたちを紹介します。どのように使われたか、想像してみてください。

耕す

「エンガ」で田畑の土起こしをし、「土こなし」で土を細かく砕きます。この「土こなし」は藤岡にいろいろなかたちのものが残ります。「振りマンガ」は田の代掻きに使います。「ジョレン」は田畑の小石の除去に使いますが、水路のゴミをすくい、またシジミなども捕ることができます。


育てる

「苗代コテ」は、苗床の地面を平らにならすためのものです。
「草取り機」「草取りローラー」は水田の除草用で、多様なかたちのものが残ります。これらはローラ-に植え付けられた金属製の歯が回転して草を水中に沈めるもので、草は水中で枯れてしまいます。「麦踏みローラー」のローラー部分は、重たい石でできています。


藤岡の川は、平野部の緩やかな流れの川から渓谷の渓流まで、多様な表情を見せています。材木の運搬、舟運での利用のほか、魚の捕獲も川を舞台とした生業のひとつです。


薪や炭の運搬等、山仕事に大変よく使われる「ショイコ」ですが、このショイコは藤岡の平地部で使われていたもので、全長2mほどもある大きなものです。茅など、軽いがかさばるものの運搬にも使われたことでしょう。


住まう

藤岡は粘土を豊富に産出し、平成期に入るころまで藤岡では瓦の生産が盛んでした。瓦は多様な種類・かたちがあり、また同じ規格のものを大量生産する必要があります。そうした瓦成形を支えたのが、瓦の木型です。


祈る

実用的な道具のほかにも、生活を支えるためのモノがあります。
「小正月ツクリモノ」は、新年の小正月に飾る竹木製のミニチュア農具です。農具に感謝して豊かな収穫を願います。「アワボ(粟穂)」は、垂れ下がるほどに実った粟(穀物)の様子を表わし、豊作を祈ります。竹と木で造られています。
「藁鉄砲」は旧暦10月10日の「十日夜(とおかんや)」で地面をたたくための藁製のツクリモノです。豊作を邪魔する地中のモグラなど害獣・害虫を駆除しようとする心を表わします。
かつて疱瘡(ほうそう)は死に至ることもある大きな病でした。疱瘡の罹患者またその家から疱瘡(疫神)を馬に運ばせて外部に送り出そうとするのが「疱瘡送り馬」で、この送り馬は、幼児の疱瘡が軽く済むようにと、自宅の鴨居にかけられたものと伝わります。


収穫

俵に詰められた米穀などを確認するため、俵に突き刺して中身を抜き取るのが、穀物さしです。この穀物さしは米用で、米さしともいわれます。これは金属製ですが、簡易な竹製も多くあります。


食べる

種をまいて育て収穫し、ようやく食べる段階になりました。粉にして捏ね、その後は煎ったり焼いたり、蒸したり、茹であげます。粉食にかかわる道具たちです。
石臼には定期的な「目立て」が必要です。メンテナンスにあたる各種の職人たちとの関係が、かつての道具にはあります。


民具リスト藤岡市教育委員会所蔵

藤岡歴史館が収集・所蔵する民具のリストです。藤岡を特徴づける養蚕および蚕糸業関係の民具の収集に力を注いでいます。

2006年に藤岡市へ合併した旧鬼石町が収集した民具のリストです。現在の藤岡市の南部の山間地区が旧鬼石町で、そこで使われていた道具たちです。