船橋市西図書館では、図書館活動の一環として、平成十四年度から「船橋市西図書館の古文書を読む会」の会員によって、西図書館所蔵の古文書類を読み進めてまいりましたが、この度第七集「房総志料・墨蹟遺考・真間紀行・海岸紀行」を刊行することになりました。
今回は、これまでとは異なり、江戸時代の地誌・紀行文と考証随筆を取り上げて解読し、翻刻することにいたしました。江戸時代後期には、庶民をふくめ、多くの人が社寺巡りや湯治の旅をしましたが、その根底には知的好奇心がありました。その結果、多数の紀行文や随筆が記されましたが、本として印刷・刊行されたものはごく少数でした。そうした視点からも、今回の四点の写本の活字化は有意義であると思われます。
当館は、一昨年の大震災で被害を受け、同会の活動の場所も、使用施設を他に求めて継続しておりますが、会員諸氏の調査・研究はいっそう深化しています。
船橋市の図書館は、開館以来六十四年の歴史があり、その間に収集した多数の浮世絵や古文書などの特殊な資料はおおきな文化遺産となっております。
これらの貴重な資料を十分に活用していくことは図書館の使命の一つであると認識し、度々展示会を開催して多くの方々にご覧いただいておりますが、本書の刊行もそうした貴重資料の活用の一つであります。
なお、当館では古文書や浮世絵等の貴重資料のデジタル化を進めることを決定し、平成二十四年度から段階的にその作業を進めております。近い将来、大半の特殊資料・貴重資料を収めて活用に供することとなり、広範な研究に貢献できるものと確信しております。
最後に、本書の作成にあたって、ご指導いただいた国立歴史民族博物館名誉教授塚本学先生と会員の皆様のご尽力に対しまして、深く感謝申し上げます。
平成二十五年三月
船橋市西図書館