卯月十六日

   〈要約〉
 ○南の風が少し吹き出した。今日は鏡が浦の蛤取りにと行くと、しばしば風が強く吹き拾うことが出来ず、砂が吹き上がって耐え難いのですぐ帰った。碁を打ち、とし子は琴などで遊び慰めて日を暮した。
   〈註〉
鏡が浦 館山湾は波が穏やかで静かなので別名鏡が浦と呼ばれ、海岸からは平らな波の彼方に富士山・相州連山が眺められ、特に富士山を望んでの落日は絶景。 〈口絵⑫参照〉 ―Web情報―