木戸・錠場

 船橋市中央部の台地は、江戸時代には幕府の馬牧場であったため、それに由来する地名が先に紹介した馬込以外にもいくつもある。今回の木戸と錠場(じょうば)は、その中でも数の多い地名である。
 房総の幕府馬牧では、原則として馬が放し飼いにされていたので、牧場と村の境には高い土手や、深い堀を作って、馬が逃げ出すのを防いでいた。そして、牧場を横切る道の出入り口には、木戸(門)を設けたのである。だから、木戸はいくつもあり、その木戸の手前の村名を冠して「高根木戸」、「古和釜木戸」、「正伯木戸」と呼ばれたり、木戸が移動したりすると「新木戸」等と呼ばれた。その中では、新京成電鉄の駅名に残った高根木戸が知られている。(実際の高根木戸は、駅の西四百メートルほどの「セイフー」の所にあった。)
 錠場は木戸に関連した地名である。木戸では、夜間にはカギ(錠)をさしたので、錠場とも称した。大穴南の旧海老ヶ作等では、「じょっぱ」となまって呼んでいたという。また、大穴北と楠ケ山の西境には「城場」の名が残る。一見すると中世城址関係の地名と見間違うが、これも幕府馬牧境の錠場の転のようである。
 
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