守りのムラと農耕民の墓

 当時の遺跡からは、周囲に深い濠をめぐらしたムラ(環濠集落)の跡が各地で発見されていますが、これらは、敵の攻撃を防ぐためのものでしょう。また、弥生時代は、初めて武器が作られた時代ともいわれていますが、夏見大塚遺跡から発見された錮鏃も、そんな戦乱の時代の名残かも知れません。
 夏見大塚遺跡からは、当時の社会状態を反映するものとして、もう一つ重要なものが見つかっています。一辺約5メートルほどの方形周溝墓がそれです。大家族を単位に、墓の中央には家長が、周囲の溝にはそれ以外の人々が埋葬されたらしく、死後も、共同で農作業を営んでいた者同士のつながりを明らかにするために、このような形態が生まれたようです。
 

方形周溝墓(夏見大塚遺跡)