機能的な日常用具

 私たちがふだん使う茶わんや皿、なべなどのルーツをたどってみると、縄文・弥生の素焼き土器に行き着くわけですが、土師器も、弥生式土器の流れをくむ褐色の素焼き土器です。
 土師器は、古墳時代から平安時代の末ごろにかけて生産・使用されていました。特徴は、形が単純で文様もほとんど無く、弥生式土器などと比べると地域差が少ないことなどが挙げられます。シンプルで飾り気がなく、素っ気ない印象さえ受けますが、日常用具として機能の面が追求された結果でしょう。
 しかし、細かく調べていくと、地域差や時期による差を持っていることがわかります。南関東地方においては大きく五つの型式に分けられ、時代を区分する指標とされてきました(左上表)。

南関東の土師器による時代区分