土師器の変遷

 焼き物というとすぐに思い浮かぶのは、食器や花びんなどですが、金属が貴重品で、素材の種類も限られていた当時は、現在使われていないものにも、広く使われていました。
 用途別に見ると、①壺、甕などの貯蔵用、②台付き甕・甑などの煮沸用、③坏・皿・鉢などの盛り付け用、④高坏・小壺・器台などの供献(神祭り)用に分けることができます。
 それでは、現在のなべ・かまに当たる煮沸用土器を例にとって、土師器の移り変わりを見てみましょう。左図は、市内出土の土師器を古いタイプから順に並べたものです。一番古い形は五領式の台付き甕で、直接炉にすえて用いられたと考えられており、弥生式土器の名残を強くとどめています。住居にカマドが普及する鬼高期になると、甕に代わって甑(蒸し器)が現れます。やがて同じ甑でも胴にふくらみを持つ壺形から細長い甕形へ、さらに須恵器(後述)の焼きに近く整った底をもつものへと変化していきます。
 

市内の煮沸用土師器の変遷

 
 鬼高期以降は器形の定型化が進み、またロクロで形を整えた跡も見られることから、一度に大量に生産されたのでないかと考えられます。