印内台・本郷台遺跡

 奈良平安時代の市内の遺跡には、印内台、本郷台(東中山2ほか)、海神台西、夏見台、夏見大塚などがあります。
 印内台・本郷台は当時の市内の代表的な遺跡ですが、「倭名類聚鈔」に見える下総国葛餝郡栗原郷は旧葛飾村一帯を指し、これらの遺跡も栗原郷の一部であったと思われます。小栗原町(現在の本中山)という町名も、栗原郷に由来するものです。
 両遺跡からは、多数の竪穴式住居跡のほかに、高床式の倉庫のものと思われる柱跡が数多く発見されています。下総国府や国分寺跡に近いこの辺りは、郡や郷に関連した役所跡があった可能性も強く、倉庫には、税として取り立てられた稲などが納められていたのかも知れません。印内台遺跡から出土した金銅製の帯金具(バックル)や円面硯は、身分の高い役人がいたことを想像させるものです。
 また、印内台・本郷台の両遺跡からは、多数の馬骨が見つかり、注目されています。特に印内台では一頭分の馬骨が発見され、古代馬の体型を知るうえで、貴重な手がかりとなりました。馬というとアラブ系やサラブ系の大型馬を想像しがちですが、これらは江戸時代以降に伝えられたもので、印内台の馬はそれより一回り小さい中型馬のようです。この馬は、遺跡が役所跡だった可能性などを考えると、官道に置かれた駅馬とも考えられます。いずれにしても当時馬は貴重でしたから、官制馬だったことは間違いないでしょう。
 

溝の中から発見された1頭分の馬骨。体長は約140cm(印内台遺跡)