函館市の製造業就業者数はここ数年減少の傾向にあるが、就業者数の14.8%を占めていることからみても、重要な機能である。函館市内では、函館ドック株式会社を除くと、1,000人を越す大工場は見られない。工場の大部分は20人未満の小規模零細工場であり、その生産性は極めて低い。工場数、従業者数、出荷額では食料品製造業(主として水産品加工)の割合が最も高い。しかし、国内大手水産品加工業者の生産の増加、原料産地の釧路・八戸の水産加工業の台頭などから、これまで道内における食料品製造の中心となってきた函館の水産加工業は、相対的にそのシェアを狭められてきている。
業種の中で従業者数、出荷額で第2の地位にあるのは函館ドック株式会社とその関連、下請工場を主体とする輸送用機械製造業である。函館ドック株式会社は昭和47年函館湾の一部を埋立てて30万トンの乾ドックを増設した。
このほか漁業資材として漁網・ロープを生産する繊維産業、船舶の内燃機関、水産食料品加工機械製造業の割合が高い。
函館の工業は、いずれも北洋漁業の最盛期に、漁業と密接な関係を保ちながら発達してきたことから、北洋漁業の実質的な基地としての地位が低落しつつある今日では、特に漁業資材だけに生産力を傾けている企業は徐々に衰退を余儀なくされている。
規模別では20人未満の工場数が全体の81.8%を占めているが、出荷額ではわずか23.4%を占めているに過ぎない。一方、100人以上の規模の工場数は1.8%に過ぎないが、出荷額では42.9%を占めており、その生産性の較差はかなり大きい。