降水量

107 ~ 109 / 706ページ
 函館の降水量は、次の図に示されているように、9月に最も多く、2月に最も少なく、9月は2月の約3.5倍の降水量がある。
 降水は冬は雪となるが、降水量としてはその都度雪を解かして雨に換算して記録してある。冬、雪が積る割には雨としての量は少なく、冬季と夏季の雨量の差は目立って大きい。
 1年間の降水量を比較してみると、ある年は多く、ある年は少なく、また夏季についても、ある時期に集中して降るなどして、現象にかなりばらつきが大きいので、平均値は目安に過ぎない。
 例えば、下図の9月の30年平均の雨量は155ミリだが、昭和45年の9月は、実に506.3ミリの雨量が記録されており、また明治39年の9月にはわずか37.7ミリの雨量よりなかった。

函館の降水量の年変化(1941-1970)

 次に明治5年以来100年間のうち、各月別の降水量の多かった値と少なかった値を示してみる。
 
多かった記録
 1月 209.0ミリ 明治6(1873)年
 2月 221.0ミリ 明治8(1875)年
 3月 140.6ミリ 昭和27(1952)年
 4月 210.3ミリ 昭和39(1964)年
 5月 230.1ミリ 昭和30(1955)年
 6月 244.5ミリ 明治7(1874)年
 7月 339.1ミリ 明治11(1878)年
 8月 390.8ミリ 明治32(1899)年
 9月 506.3ミリ 昭和40(1965)年
 10月 272.9ミリ 明治32(1899)年
 11月 302.7ミリ 明治20(1887)年
 12月 187.0ミリ 大正14(1925)年
少なかった記録
 1月 21.8ミリ 昭和39(1964)年
 2月 14.7ミリ 明治16(1883)年
 3月 19.8ミリ 昭和18(1943)年
 4月 0.0ミリ 明治9(1876)年
 5月 23.9ミリ 明治22(1889)年
 6月 21.8ミリ 大正14(1925)年
 7月 0.0ミリ 明治9(1876)年
 8月 5.1ミリ 明治9(1876)年
 9月 37.7ミリ 明治39(1906)年
 10月 25.4ミリ 明治9(1876)年
 11月 21.4ミリ 明治35(1902)年
 12月 29.9ミリ 昭和26(1951)年

 
 降水量の統計には、月合計のほかに1日(24時間)の降水量や1時間の降水量、10分間の降水量などがあるが、100年間のそれぞれの記録的な極値は次の通りである。
 
1日降水量  176.0ミリ 昭和12(1937)年8月25日
1時間降水量 63.2ミリ 昭和14年(1939)年8月25日
10分間降水量 21.3ミリ 昭和34(1959)年9月11日

 
 最近は局部的に短時間に集中して降る豪雨による被害が多く、例えば昭和47年8月3日には函館海洋気象台の観測値は1時間の降水量が57.0ミリであったが、約8キロメートル離れた同台の函館空港出張所では82.0ミリで、前記の記録をはるかに上回って、付近に被害を与えた。
 3.3平方メートルの面積の土地に降る100ミリの雨は、330リットルになる。低地では周囲からこの雨が集中して流れ込むことになるので、短時間の大量の降水は特に大きな浸水災害を生ずることがしばしばである。