国勢調査に至るまでの記録

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 今日統計等に用いられている世帯数は、かつてわが国近世における調査等で用いられた戸数あるいは戸口と同一のものではない。戸籍法が施行され、ある程度信頼のおける人口・世帯数(戸数)が知られるようになったのは明治5年以後のことである。従って明治4年以前の人口・戸数を知る手がかりは宗門改めなどの記録による方法以外になく、この方法で得られた数字は不確定なものが多いため、概数としてしか把握することができない。明治5年以降の戸籍法による戸数の確認も、今日の方法に比較すると不確定な面が多い。すなわち戸口は固定した本籍戸口そのままであるか、本籍戸籍に寄留の出入数を考慮して算出されたものであるかのいずれかであった。
 明治初年代(明治5~14年)の10年間は人口総数のみが記録されており、男女別人口数は不明である。正確な調査の行われたのは大正9年10月1日の第1回国勢調査以降のことである。これ以降戸数に代わって世帯数が用いられることになるが、函館区、市統計要覧では昭和初年代まで戸数あるいは現在戸数・現住戸数を使用している。
 従って、本章で用いられる人口・戸数・世帯数は、特に大正9年以前、中でも維新前の数字はその精度が極めて低いとみなくてはならない。