北海道の旧石器

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 北海道で最も古い石器である前期白滝文化の石器は、細長く縦長に剥ぎ取った大形の石刃(ブレード)で、舟底形をした石器、小形の握斧(あくふ)状石器などがある。この石器の年代は黒曜石の水和層年代(ガラス質の表面にできる膜面の生成過程による年代測定法で、北海道大学や帯広畜産大学で研究されている。)で調べると、1万7000年前から1万6000年前である。後期白滝文化になると、大形の細長い縦剥ぎの石刃がなくなり、扁桃(へんとう)形の槍先の形をした石器から造る白滝形彫器や、幅広の縦長剥片の石器、舟底形の一端から一定方向へ小さな縦剥ぎの石片を取った彫器と、石片の先端を加工した彫刻刀及び槍先などが現われる。これは黒曜石水和層年代1万5000年から1万2000年で、多くの旧石器遺跡はこの時期に相当する。旧石器時代晩期に細石刃、槍先や彫刻刀と、有舌尖頭器と呼んでいる小形の槍先ないしは矢の先に付ける大形の石鏃が出現する。また、打製の片刃石斧で、局部的に磨痕を持つ特殊な石器が現われる。この局部磨製片刃石斧は、縄文時代の石斧の祖形である。北海道の有舌尖頭器は、市立函館博物館が調査した立川遺跡の名称を冠して立川ポイントとも呼ばれ、1万2000年から8000年前のものと推定されている。
 北海道の旧石器文化は、石刃文化の最盛期に始まって細石刃文化に移り、弓矢と局部磨製石斧の出現で新石器時代の土器文化に発展したといえる。