良忍上人の渡来説

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 『蝦夷実地検考録』に、「神職旧記に云う。大治年中(一一二六~一一三〇)大原の良忍上人、融通念佛を弘めん為に、此島へ渡り、杖を息めし時、観音の霊跡有りといいしことあるにより、保延元乙卯年一宇を建てたり」と、融通念佛宗の開祖良忍上人の布教の為の渡来が記されているが、これには傍証がなく、おそらく室町末期以降、全国に流布された融通念仏縁起絵巻の影響によって生まれた伝説ではないかといわれている。