これまでは、市街地の動態や都市生活基盤の整備について個別に説明してきた。そのためにそれらの関連性が希薄で歴史事象の記述に終始していたのである。ここでは少しでもその点を補足する意味で、都市構造を2つの視点からアプローチし、幕末時との比較ができるような展開としたい。その2つの視点とは、都市空間の拡大と都市整備の主体者の把握であり、幕末時の都市形態と「場」のイメージ化に相当するものである。つまり、これらの比較を通して近代都市としての函館の都市構造の素描を抽出することを目的としている。
[第4節 明治期の都市構造]