函館・小樽南港における管外移入額と移出額の関係
年次 | 函館 | 小樽 | ||
移入額 /移出額 | 移入額の対 全道比% | 移入額 /移出額 | 移入額の対 全道比% | |
明治13 18 23 28 33 38 | 2.3 1.6 1.4 1.6 1.6 1.1 | 51.8 55.4 52.2 37.7 43.8 32.4 | 1.3 1.6 3.3 1.4 1.6 1.3 | 14.6 16.6 26.3 35.5 33.6 49.0 |
函館と小樽は、北海道産物の管外移出港であったばかりでなく、2大管外移入港でもあった。両港の移入額と移出額の関係をみたのが、表6-14である。函館、小樽とも移入額が移出額を上回り、しかも移出額の2倍、3倍にも達した年さえみられる。移出額の推移が、両港の消長に重要な意味をもっていたことを知ることができる。
明治20年代のはじめまでは、函館港の移出額の対全道比は5割をこえ、府県から北海道に入ってくる物資の過半は函館港を経由していた。一方、明治2、30年代における小樽港の地位の向上は、移入額においてもみられるのであって、明治20年代中頃には函館と並び、明治38年の対全道比は49.0パーセントで、5割ちかくに達した。この明治38年の函館の対全道比は32.4パーセントである。函館、小樽をあわせると81.4パーセントにもなり、府県からの移入品の大部分は両港を経由したのである。
函館と小樽の移入品の上位品目をみると、表6-15と表6-16のとおりである。函館港と小樽港で、また、明治21年と明治36年で、その構成にほとんど差異を見出すことができない。主食であり、自給できなかった米、衣類及反物類(呉服太物類)、酒・煙草・砂糖・味噌・醤油・塩などの調味料・嗜好品、和洋小間物・金物類・和洋紙などの日用雑貨、灯火用の石油、包装材の藁工品が上位品目にならんでいた。明治21年から明治36年の大きな変化は、各商品の函館の占有率が低下し、小樽の比重が高くなったことである。たとえば、明治21年に函館管外移入の第1位を占めていた衣類及反物(呉服太物類)の対全道比は86.6パーセントであったが、明治36年には34.9パーセントに低落し、かわって小樽のそれが52.3パーセントを占めるに至っている。明治21年の函館港の上位品目は、酒が53.7パーセント、石油が89.6パーセント、砂糖が59.1パーセント、和洋小間物が71.1パーセント、金物が85.7パーセントと高い対全道比を示したが、この中で明治36年に5割をこえていたのは、石油の58.8パーセントと金物の73.4パーセントにすぎない。明治2、30年代の内陸部開拓の進展、移住民の急増にともなう需要にこたえるために府県からの移入が増大したにもかかわらず、函館港が、その増加部分を吸引できなかったことを示している。
表6-15 明治21年管外移入品価額上位品目
(単位:千円) |
順位 | 函館 | 小樽 | 全道 | |||
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 | 衣類及反物 米 酒 煙草 石油 砂糖 味噌 和洋小間物 金物類 果実 醤油 和洋紙 綿 和洋熟鉄 書籍 | 1,536 756 240 235 216 146 107 101 90 81 73 71 66 64 49 | 米 雑貨 衣類及反物 砂糖 酒 筵 和洋熟鉄 和洋小間物 煙草 網及網苧 和洋紙 味噌 醤油 石油 塩 | 468 396 65 64 44 23 17 16 14 12 12 12 11 9 7 | 米 衣類及反物 雑貨 酒 砂糖 石油 筵 煙草 和洋小間物 味噌 網及網苧 醤油 金物類 和洋紙 果実 | 3,132 1,773 483 447 247 241 194 171 142 142 113 113 105 99 92 |
『北海道庁統計書』より作成
表6-16 明治36年管外移入品価額上位品目
(単位:千円) |
順位 | 函館 | 小樽 | 全道 | |||
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 | 白米 呉服太物 雑貨 玄米 金物類 日本酒 縄 網苧 煙草 砂糖 その他粉類 石油 筵類 塩 薬種 | 3,083 1,861 1,589 1,406 1,138 861 655 563 536 503 382 343 315 285 225 | 玄米 呉服太物 雑貨 煙草 砂糖 日本酒 紙類 金物類 筵類 銅鉄類 綿 和洋小間物 石油 茶 縄 | 7,625 2,787 1,919 819 787 703 595 357 320 295 270 251 180 175 165 | 玄米 白米 呉服太物 雑貨 日本酒 金物類 煙草 砂糖 縄 紙類 筵類 網苧 石油 塩 その他粉類 | 10,038 6,840 5,330 3,821 2,034 1,550 1,513 1,340 918 877 841 655 583 478 426 |
『北海道庁統計書』より作成