山田銀行は明治16年2月に創立したとき、主として大蔵省および農商務省北海道事業管理局の現金取扱御用に従事し、あわせて一般の銀行業務を開始した。ところが、明治19年1月、3県を改めて北海道庁が置かれることになり、北海道事業管理局が廃止され、山田銀行は大蔵省や農商務省の官金取り扱い業務を停止され、たちまち銀行業務は不振となった。
ついに明治24年7月閉店のやむなきに至り、さきに業務を山田銀行に引き継いだ安田系の第三国立銀行が再び函館に支店を開設したので営業を全て譲り渡した。創業いらいわずか8年で閉鎖してしまった。やはりこの時期の地方銀行は、官金取扱に依存するところが極めて大きく、停止とともに営業を持ちこたえられなかった(『北海道金融史』、「殖産と銀行-山田慎」『開拓の群像』下)。