逓信省直轄函館商船学校

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 一地方の所管では「我国一般の航運を進捗するの欠くべからさる航海者を養成する所」である商船学校の進歩も自然迂遠を免れないという初代道庁長官岩村の稟請により、20年12月28日の函館商船学校は逓信省直轄となった(明治22年12月11日付「北海」)。
 翌21年5月には「函館商船学校規則」がだされた。同規則によると本科・別科に分かれ各科共に航海学部と機関学部で構成された。本科は「商船船長運転手若クハ機関手ノ職務ヲ執ント欲スル者ニ高等ノ学術ヲ授ケ」、海軍予備員志願者のみに限った。別科は「商船船長運転手若クハ機関手技術試験ヲ受ント欲スル者ニ適応ノ学術ヲ授ケル」ところとした。各科の学課および課程は表10-17のとおりである。かなり高度な専門的な学校となった。
 
 表10-17 商船学校学課およぴその課程
本科 商船船長・運転手・機関手養成
*海軍予備員志願者のみ
別科商船船長・運転手・機関手の技術試験受験者のため
学課航海学部(6年)機関学部(6年)航海学部   機関学部
5級:校舎で1年
4級:船舶で2年
3級:校舎で1年
2級:校舎で1年
1級:船舶で1年
4級:校舎で1年
3級:校舎で1年
2級:工場で2年
1級:船舶で2年
各自の志願に応じ教授
課程航海学・船具運用大意・航海物理大意・英語・算術・航海演習・測量術・運用術・機関学・数学・英学・包術機関学・数学・英学
・物理学大意・工場
演習・航海演習
 
入学資格・13歳以上16歳以下・15歳以上18歳以下・従来の海員で、4年以上航海に従事し、
 品行善良の実歴ある者
・品行善良で2名以上の保証人があり、在学中家事
 に系累ない者
・体格検査および学課試験に合格の者

 明治21年「函館商船学校規則」より作成