この学校令および訓令の公布は、改正条約の実施により外国人経営の私立学校が増加するだろうという想定のもとで、その対応に明確な態度を打ち出しておく必要に迫られての対応だったが(『日本婦人問題資料集成』教育)、前後して区内の宗教系の女学校は表10-18のように整理された。大半が収容人員の多かった小学部を生かして私立小学校へ組織替えをしたが、遺愛女学校と靖和女学校は宗教教育を貫き、併設していた小学校を廃止し各種学校の道を選んだ。
表10-18 明治32年前後の私立女学校の改正
改正前 → 改正後 |
遺愛女学校 → 遺愛女学校(各種学校)、併設の小学校廃止 靖和女学校 → 靖和女学校(各種学校)、併設の小学校廃止 聖保祿女学校 → 元町女子尋常高等小学校、聖保祿女学校(各種)新設 正教女学校 → 正教女子小学校(まもなく廃止) 六和女学校 → 六和尋常小学校、六和女学校(各種)併設 吉祥女学校 → 吉祥尋常小学校、吉祥女学校(各種)併設 |
『北海道庁学事年報』・「函館資料三」『河野常吉資料』(北海道立図書館蔵)より作成