教員の資格規定

1283 ~ 1284 / 1505ページ
 この時期政府は公立師範学校の充実を図る一方で、資格の無い教員を学力検定によって有資格教員とし師範学校の卒業生だけでは賄いきれない小学校教員を何とか補っていこうとした。
 「学制」は教員について「師範学校卒業免状或ハ中学免状ヲ得シモノニ非サレハ其任ニ当ルコトヲ得ス」と規定、とりあえずの目標とし、さらに7年7月の文部省布達で「各地方ニ於テ小学教員タラン事ヲ欲スル者ハ、大学区本部官立師範学校ニ於テ学業試験ノ上小学訓導タルヘキ証書可相与候条(以下略)」(『学制百年史』資料編)と師範学校卒業証書の無い者(20歳以上)へも学業試験の上で教員免許授与の道を開いた。この方針は12年の「教育令」に引き継がれ、卒業証書所持の教員と学力検定書所持の教員の二本立ての道が取られた。この時期各大学区の官立師範学校は廃止されており学業試験は各府県にある公立師範学校へ委任されたため、翌13年の改正「教育令」では「小学教員ハ官立公立師範学校ノ卒業証書ヲ有スルモノトス、但本文師範学校ノ卒業証書ヲ有セスト雖モ、府知事県令ヨリ教員免許状ヲ得タルモノハ其府県ニ於テ教員タルモ妨ケナシ」と改正、各地方限りの教員免許状が認められてその権限は府知事県令に一任される形となった。翌14年1月、この但書をうけて「小学校教員免許状授与方心得」が布達され、地方の教員免許制度がより具体的になったのである。また教員の品行規定に関しては、14年6月に「小学教員心得」を達して16項にわたり具体的に教員が心得るべきことを指示するとともに教員の政治活動を禁止した。
 函館でも伝習所時代に「教員講習所」を開設し新しい小学教科の教授方法を指導したり、13年11月に「小学教員階級試験規則」(『布類』)を達し、1年以上勤続で卒業証書不所持の現役教員を対象に階級試験を実施し、管内での学力証明書を授与した。また函館県になってからは、16年3月「小学校職員規則」(『函館県布達々全書』)を達し師範学校で検定試験を実施することとした。